日本語の文章にはスペースがありませんよね。「わたしはりんごをたべます」と続けて書いても、自然にどこで区切れるかを判断できます。でも英語では「Ieatapple」と書いてしまうと、何が何だかわからなくなってしまいます。では、なぜ英語には単語ごとのスペースが欠かせないのでしょうか。
理由のひとつは、英語が「語順」に大きく依存する言語だからです。日本語は助詞があるので「りんごを食べる」「りんごが食べる」のように、順番を入れ替えずに区別できます。一方、英語では「I eat an apple」「An apple eats me」と語順で意味を決定します。だからこそ、単語の境界をはっきり示す必要があるわけですね。
歴史的に見ると、古代ラテン語やギリシャ語の写本にはスペースがありませんでした。文字がびっしり詰まった「scriptio continua(続け書き)」という書き方です。ところが、読みやすさのために7世紀ごろのアイルランドの修道士たちが単語間にスペースを入れ始め、その習慣がヨーロッパ中に広がっていきました。英語の表記もその流れを受け継いだわけです。
日本語の場合は、漢字・ひらがな・カタカナの三種類を使い分けることで、単語の境界が自然に見えるようになっています。「私はリンゴを食べます」と書けば、漢字とカタカナの切れ目で意味がわかりやすくなるので、スペースがなくても大丈夫ですよね。
つまり、スペースの有無は言語の「仕組みの違い」を反映しています。英語ではスペースが不可欠、日本語では不要。それぞれの言語が持つ特徴に応じて、読みやすさの工夫がされているというわけですね。
次に英語の文章を読むとき、当たり前に思えるスペースも「なるほど、これがなければ成り立たないんだ」と考えてみると、ちょっとした発見になるかもしれません。