「meat」と聞くと、多くの人は「肉」を思い浮かべますよね。実際、日常会話で「meat」といえば牛肉・豚肉・鶏肉など、動物のお肉を指します。ただ、英語の「meat」には、ちょっと意外な歴史があります。
昔の英語では「meat」という言葉はもっと広い意味を持っていて、「食べ物」全般を指していました。中世の文献を読むと、「bread and meat」とあっても、実際にはパンと肉というより「食事」というニュアンスで使われていたりします。つまり、現代の「food」に近い感覚だったんですね。
この名残は今も少し残っています。たとえば「meat and drink to someone」という表現。直訳すると「肉と飲み物」ですが、実際には「大好物」「大の楽しみ」といった意味になります。「That kind of puzzle is meat and drink to her.(そんなパズルは彼女にとって大好物だ)」というように使われます。
さらに「meaty」という形容詞も面白い単語です。もちろん「肉っぽい」という意味もありますが、「内容が濃い」「充実している」という比喩的な意味でも使われます。たとえば「a meaty discussion」といえば「実のある議論」という感じです。
日本語で「肉」といえば「fish(魚)」との対比で使われることが多いですが、英語でも「fish」は「meat」に含めないのが一般的です。スーパーの棚でも「meat section」と「fish section」は分かれていることが多いです。
こうしてみると、「meat」という言葉は単なる食材名ではなく、昔の人の食文化や価値観を映す鏡のようです。今も残る言い回しに耳を傾けると、英語がただの言葉以上に、長い歴史の積み重ねでできていることが感じられるかもしれませんね。