日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5つだけです。とてもシンプルですよね。それに対して英語には、母音の数え方にもよりますが、なんと十数種類もの母音があります。「え?アルファベットではa, e, i, o, uの5つじゃないの?」と思う人も多いかもしれません。実はアルファベットの母音字と、実際の発音の母音は別物なんです。
たとえば「ship(船)」と「sheep(羊)」。綴りは似ていますが、発音はまったく違います。「i」と「ee」で、母音の長さや口の形が変わるんですね。日本語では母音の種類が少ないので、つい同じように聞こえてしまうのですが、英語ではこの違いが意味の区別につながります。
さらにややこしいのが「二重母音」と呼ばれる音です。「time(タイム)」の「ai」や「go(ゴー)」の「o」は、実は一つの母音が二つに滑るようにつながっている音です。日本語の母音は基本的に単純な一音で終わりますが、英語では母音が動きながら発音されることが多いです。
「なぜ英語の母音はこんなに多いのか?」というと、大きな理由は歴史にあります。中世の「大母音推移」と呼ばれる大きな変化で、母音の発音が大きく動きました。その結果、同じ綴りでも昔と今で発音が違うことが増え、さらに母音のバリエーションが複雑になっていきました。
英語は母音が多いため、学習の際にハードルになるかもしれませんが、一方でその豊かな響きは大きな魅力であり、面白さでもありますね。
