「霧」は英語で基本的に「fog(フォグ)」または「mist(ミスト)」といいます。どちらも空気中に細かい水滴が漂って視界をさえぎる現象ですが、使い分けには少し違いがあります。
「fog」は濃い霧で、見通しが悪くなるような状態を指します。天気予報では「heavy fog(濃い霧)」や「thick fog(深い霧)」と表現されます。たとえば「The airport was closed because of the fog(霧のために空港が閉鎖された)」のように、交通に影響が出るレベルの霧です。
一方、「mist」はもっと軽く、薄い霧や靄のようなものを表します。朝の川辺や森の中に漂うやわらかな霧は「morning mist(朝もや)」や「a light mist(薄い霧)」といいます。風景を表すときには「mist」のほうが詩的で穏やかな印象です。
さらに、「haze(ヘイズ)」という言葉もあり、これは霧よりも乾いた空気に含まれる微粒子による「かすみ」を指します。夏の都会や山の向こうがぼんやりして見えるときなどに使われ、「a haze over the city(街を包むかすみ)」といった表現になります。
比喩的な使い方もあります。「in a fog」は「ぼんやりしている」「混乱している」という意味です。「I was in a fog after the meeting(会議のあと、頭がぼんやりしていた)」のように使うと、心の状態まで霧にたとえていますね。
つまり英語の「霧」は、天気を描写するだけでなく、心の曇りや曖昧さを表す詩的な言葉でもあるんですね。朝の「mist」や街を包む「fog」を思い浮かべながら、その微妙な違いを感じてみると、英語の豊かさが少し見えてくるかもしれませんね。
