「月」を英語で表すと「Moon」ですが、天文学的な文脈や特定の場面では「Luna(ルナ)」という言葉も使われます。これはラテン語で月を意味する言葉に由来しています。
月に関する英語の表現で最も有名なものの一つに「Once in a blue moon」があります。これは「めったに起こらない、極めて稀なこと」を意味する慣用句です。実際の月が青くなる現象は稀ですが、この表現における「Blue moon」は、1ヶ月の間に満月が2回巡ってきた際の「2回目の満月」を指すのが一般的です。数年に一度しか起こらない現象であることから、この意味が定着しました。
また、月の光を表す「Moonlight」には、日本語の「月光」以上に多様なイメージが付随します。ロマンチックな場面で使われる一方で、かつては月が人間の精神に影響を与えると信じられていたため、少し不気味な、あるいは狂気を孕んだニュアンスで語られることもありました。「狂気」を意味する「Lunacy」や、形容詞の「Lunatic(狂気じみた)」という言葉が、月の名前である「Luna」から派生しているのはそのためです。
感情を表すフレーズでは「Over the moon」という言葉がよく使われます。これは「月を飛び越えるほど嬉しい」つまり「大喜びしている」という状態を指します。マザー・グースの童謡の中で、牛が月を飛び越える(The cow jumped over the moon)という描写があり、そこから転じて非常に幸せな気分を表す言葉になりました。
月の形状に関する呼び名も多彩です。日本語では「三日月」や「十六夜」など情緒的な呼び分けがありますが、英語でも「Crescent(三日月)」や「Full moon(満月)」だけでなく、満ちていく月を「Waxing moon」、欠けていく月を「Waning moon」と呼びます。また、半分より大きく満月より小さい状態を「Gibbous(ギバス)」と呼ぶなど、天体としての状態を正確に表す語彙が発達しています。
このように、英語における「月」は、稀少性の象徴であったり、時には人の心を惑わす存在であったりと、単なる天体以上の豊かな意味を持って使われています。
