算数や数学で使われる「奇数」。英語では「odd number」と表現されますが、この「odd」という単語には「奇妙な」や「半端な」といった意味も含まれています。なぜ奇数が「奇妙」とされるのか、その語源や日常会話での使われ方を深掘りしてみましょう。
まず、対になる「偶数」は英語で「even number」と呼ばれます。「even」には「平らな」「等しい」という意味があり、2で割り切れる(=平等に分けられる)状態を指します。それに対して「odd」の語源は、古い北欧語で「三角形」や「3本目の杭」を意味する「oddi」に遡ります。2つでペアになるものに、もう1つが加わって突き出している、つまり「割り切れずに余っている」という状態がこの言葉の核心にあります。
この「余りもの」「端数」というイメージから、現代英語の「odd」には「奇妙な、変な」というニュアンスが生まれました。日本語でも、割り切れない不思議な出来事を「奇(く)しくも」と言ったり、一風変わったことを「奇抜」と言ったりしますが、英語でも「割り切れない=普通ではない」という感覚が共通しているのは非常に興味深い点です。
日常会話や慣用句にも、この「割り切れない」イメージが反映されています。例えば「odd one out」という表現があります。これは、グループの中で仲間外れや、一つだけ種類が違うものを指します。ペアになれずに一人だけ余ってしまった様子が目に浮かぶ言葉ですね。
また、人の意見が対立している状況を「at odds with someone」と表現します。これも、割り切れない数字のように足並みが揃わず、ギクシャクしている状態を指しています。一方で、賭け事などで使われる「odds(オッズ)」もこの「odd」から派生しています。もともとは「(勝ち負けの)不均衡」を意味しており、そこから「確率」や「見込み」という意味に発展しました。
そのほかにも、「an odd number」は「奇数」を意味しますが、「30人ちょっと」のように端数を伝えたい時は、「thirty-odd people」のように数字の後に置いて表現します。
このように、英語の「奇数」という言葉には、単なる数字の分類を超えて、「バランスが崩れたもの」や「唯一無二の異質なもの」に対する人々の視線が込められています。数学的な概念が、いかにして「奇妙さ」や「不一致」といった感情的な表現に結びついていったのか。その背景を知ることで、単語一つひとつが持つ手触りがより鮮明に感じられるのではないでしょうか。
