文章を補足したり、数式を整理したりする際に欠かせない「括弧」。英語では、括弧の形や用途によって呼び方が細かく分かれており、さらにイギリス英語とアメリカ英語で名称が異なるなど、意外な面白さが隠されています。
私たちが最も頻繁に使う丸括弧( )は、アメリカ英語では「parentheses(パレンセシーズ)」と呼びます。単数形は「parenthesis」です。一方、イギリス英語ではこれを「brackets(ブラケッツ)」、あるいはより具体的に「round brackets」と呼ぶのが一般的です。アメリカで「brackets」と言うと、主に角括弧[ ]を指すため、大西洋を挟んで呼び名が逆転しているような現象が起きています。
「parenthesis」という言葉の語源は、古代ギリシャ語の「para(横に)」「en(中に)」「thesis(置くこと)」が組み合わさったものです。つまり「横に置かれたもの」という意味であり、文章の主軸から少し外れた補足情報を付け加えるという役割が、言葉そのものに刻まれています。
括弧の種類はこれだけではありません。波括弧{ }は「braces(ブレイシーズ)」、あるいは「curly brackets」と呼ばれます。「braces」には「支えるもの」や「歯の矯正器具」という意味もあり、その形が似ていることからこう呼ばれます。また、山括弧< >は「angle brackets」と呼ばれ、プログラミングや数学の分野で重要な役割を果たしています。
日常会話やビジネスシーンでは、括弧そのものを指すだけでなく、「bracket」を動詞として使うこともあります。例えば、年齢や所得などで人々をグループ分けすることを「bracket together」と表現します。これは、特定の範囲を括弧で括って一括りにする、というイメージから来ています。日本語の「括る(くくる)」という感覚に近いかもしれません。
文法的なルールとしては、英語で括弧を使う際、括弧の「外側」にはスペースを入れますが、「内側」にはスペースを入れないのが鉄則です。例えば、「English (language)」のように書きます。また、括弧内の文章が独立した一文でない限り、文末のピリオドは括弧の「外」に置くというルールもあります。
このように、一見地味な記号である「括弧」にも、歴史的な語源や地域による呼び方の違い、そして文章を論理的に構造化しようとする英語の性質が表れています。記号一つひとつの名前やルールを知ることで、英語のライティングがより正確で知的なものへと変わっていくはずです。
