英語で「美しい」を表現する際、真っ先に思い浮かぶのは「beautiful」ですが、対象が人か物か、あるいはその美しさの種類によって、英語では驚くほど多彩な言葉が使い分けられています。
最も万能な「beautiful」は、外見だけでなく内面の美しさや、心に深く訴えかけるような感動的な美しさを指します。一方で、主に女性や子供に対して「可愛らしい、整っている」という意味で使われるのが「pretty」です。面白いことに、この「pretty」の語源は、古英語の「prættig(ずる賢い、巧妙な)」にあります。「知恵を使って巧みに整えられたもの」というニュアンスから、現在の「可愛らしい」という意味へ変化していったのです。
男性に対して「美しい、男前だ」と言う場合は「handsome」を使うのが一般的です。この言葉の由来は「hand(手)」に「some(~しやすい)」がついたもので、もともとは「手で扱いやすい、器用な」という意味でした。そこから「立ち振る舞いが立派な」「(体格がよく)見栄えがする」という意味に転じ、現在の使い方に定着しました。現代では、非常に洗練された女性や建物に対しても使われることがあります。
また、息を呑むような圧倒的な美しさを表現するなら「stunning」や「gorgeous」がぴったりです。「stunning」は「気絶させるほど(stun)」という意味から来ており、あまりの美しさに衝撃を受ける様子を表します。景色であれば「picturesque(絵のように美しい)」という単語もよく使われます。これは「picture(絵)」のように完璧な構図であることを意味し、自然の風景を褒める際の定番表現です。
「美しさ」にまつわる有名なことわざに、「Beauty is in the eye of the beholder.」があります。「美しさは見る人の目の中にある」、つまり「美の基準は人それぞれ(あばたもえくぼ)」という意味です。また、「Beauty is only skin deep.」という表現もあり、これは「美しさは皮一重(外見の美しさはうわべだけのもの)」という、内面の重要性を説く教訓として親しまれています。
文法的な特徴としては、複数の形容詞を使って美しさを強調する場合、語順に一定のルールがあります。例えば「美しい大きな古い家」と言いたい時は「a beautiful big old house」となります。主観的な評価である「beautiful」は、大きさや新旧などの客観的な情報よりも先に置くのが英語の自然なリズムです。
このように、英語には「美しい」という一言では収まりきらない、対象への敬意や驚き、歴史的な背景が詰まっています。言葉の細かなニュアンスを知ることで、目の前の景色や人をより豊かに描写できるようになるはずです。
