デジタル時代のコミュニケーションに欠かせない「絵文字」。今や「emoji」という言葉はそのまま英語として定着していますが、その成り立ちや、欧米で使われていた「emoticon」との違いを探ると、興味深い文化の融合が見えてきます。
「emoji」という単語を初めて見た英語圏の人々の多くは、これが英語の「emotion(感情)」と「icon(アイコン)」を組み合わせた言葉だと思ったそうです。しかし、実際には日本語の「絵(e)」と「文字(moji)」に由来する外来語です。2015年には、オックスフォード英語辞典が「今年の言葉」として、文字ではなく「Face with Tears of Joy(嬉し泣きの顔)」の絵文字を選出するという史上初の出来事があり、世界共通の言語としての地位を不動のものにしました。
「emoji」が普及する前から、英語圏には「emoticon(エモーティコン)」という文化がありました。これは「emotion」と「icon」を繋げた造語で、記号を組み合わせて表情を作るものです。面白いのはその向きです。日本の顔文字が「(^_^)」のように正面を向いているのに対し、欧米のエモーティコンは「🙂」や「🙁」のように、首を横に傾けて見るスタイルが主流です。また、日本人は「目」で感情を読み取る傾向がありますが、欧米では「口」の形を重視するという文化的な違いも、これらの記号の形に反映されています。
絵文字にまつわるユニークな記念日として、7月17日は「World Emoji Day(世界絵文字デー)」と定められています。なぜ7月17日なのか、その理由はiPhoneなどで使われる「カレンダー」の絵文字にあります。Appleの「カレンダー」アイコンが、かつてiCalというソフトが発表された「July 17」を表示していたことから、この日が選ばれました。一つのアイコンが記念日を決めてしまうほど、絵文字の影響力は強くなっているのです。
文法的な扱いについては、少し議論が分かれるところです。「emoji」の複数形は、日本語に倣ってそのまま「emoji」とする場合と、英語のルールに従って「emojis」とする場合のどちらも使われます。現在の日常会話では、複数の絵文字を指して「I love these emojis!」と「s」を付けて呼ぶのが一般的になっています。
また、ビジネスメールなどでは「pictograph(象形文字)」という言葉が使われることもあります。しかし、今や「emoji」という単語そのものが、感情を伝えるための最もシンプルで強力なツールとして、性別や国境を超えて愛されています。
このように、日本発の「絵文字」は英語という言語の中に深く入り込み、新しいコミュニケーションの形を築き上げました。スマートフォンの画面の中にある小さなアイコンたちは、今日も世界中で何十億回と交わされ、言葉の壁を軽々と飛び越え続けていますね。
