英文の末尾でお馴染みの「?(クエスチョンマーク)」。英語ではそのまま「question mark」と呼びますが、その形が誕生した経緯や、英語ならではのルール、さらには比喩的な使い方を探ると、記号一つに秘められた興味深い物語が見えてきます。
この特徴的な記号の由来には諸説ありますが、最も有名なのはラテン語語源説です。中世の写字生たちは、質問文の末尾に「質問」を意味するラテン語「Quaestio(クエスティオ)」を書いていました。やがてスペースを節約するために、最初の「Q」を最後の一文字「o」の上に重ねて書くようになり、その「Q」が曲線に、「o」が点へと変化して現在の「?」になったと言われています。
正式な名称としては「interrogation point(尋問符)」と呼ばれることもあります。「interrogation」は警察の取り調べや尋問を指す言葉ですが、記号の名称としては単に「疑問を表す点」という硬い表現になります。日常会話では「question mark」で十分通じますが、印刷やタイポグラフィの世界ではこの正式名称が使われることもあります。
英語における使い方のルールで面白いのが、感情の強さを表すためのバリエーションです。現代のSNSやチャットでは「??!!」のように記号を重ねることがありますが、1960年代には、疑問符と感嘆符を合体させた「interrobang(インテロバング:‽)」という新しい記号が考案されたこともありました。結局、標準的なキーボードに採用されることはありませんでしたが、驚き混じりの質問を一つの記号で表そうとした、ユニークな試みの名残です。
また、文法的な注意点として「間接疑問文」にはクエスチョンマークを使わないという鉄則があります。「What is this?(これは何ですか?)」という直接的な問いには必要ですが、「I don’t know what this is.(これが何であるか知らない)」のように、文の一部として疑問が組み込まれている場合は、文末はピリオドになります。
さらに、この記号は「不確実性」や「未知」の象徴としても使われます。例えば、計画の先行きが不透明なとき、英語では「A big question mark hangs over the project.(プロジェクトに大きな疑問符がついている)」といった表現をします。記号そのものが、人々の迷いや不確かさを表すアイコンとして定着しているのです。
何気なく文末に置いている「?」ですが、その丸いフォルムの裏側には、中世の筆記習慣から現代の言語心理までが凝縮されています。次に英文を書くときは、この小さな点(ドット)が持つ長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
