英語で「腹筋」を表現する際、日常会話で最も使われるのは「abs(アブス)」です。これは医学的な正式名称である「abdominal muscles」を短縮した言葉ですが、フィットネス文化の浸透とともに、筋肉の部位だけでなくトレーニング用語としても広く定着しています。
日本語では筋肉そのものも、それをする運動のことも「腹筋」と言いますが、英語では明確に使い分けられます。筋肉は「abs」ですが、運動としての腹筋は「sit-ups」や「crunches」と呼びます。ちなみに「sit-up」は上体を完全に起こす昔ながらの腹筋運動、「crunch」は腰を床につけたまま背中を丸める運動を指し、トレーニング界隈では厳密に区別されています。
鍛え上げられた腹筋を形容する表現も多彩です。日本でも馴染み深い「six-pack」は定番ですが、英語圏ならではの表現に「washboard abs」があります。「washboard」とは、かつて洗濯に使われていた波状の「洗濯板」のこと。腹筋の凹凸を洗濯板に見立てた比喩表現で、「そこで洗濯ができるほど硬くて凸凹している」という称賛の意味が込められています。
また、近年よく耳にする「core(コア)」という言葉も重要です。これは単に表面の腹筋(腹直筋)だけでなく、深層のインナーマッスルや背中周りを含めた「体幹」を指します。見た目の美しさだけでなく、身体機能の向上を重視する現代の健康志向を反映して、「training my abs」よりも「training my core」と言う頻度が増えています。
少しスラング的な表現としては、脂肪が極限まで落ちて筋肉の線がくっきり見える状態を「ripped」や「shredded」と表現します。「紙をシュレッダーにかけたように細かく割れている」というイメージから来ており、ボディビルダーやフィットネス愛好家の間では最高の褒め言葉として使われます。
文法的な注意点として、「abs」は複数の筋肉で構成されているため、通常は複数形で扱われます。「Show me your abs(腹筋見せてよ)」といった具合です。一方、単にお腹の調子が悪い時や満腹な時は、筋肉ではなく内臓を指す「stomach」を使うのが一般的です。
このように、英語の「腹筋」にまつわる表現を追っていくと、単なる解剖学的な用語を超えて、どのような体が理想とされているか、どのようなトレーニングが流行しているかといった、欧米のフィットネス文化の変遷が見えてきます。
