日本語ですっかり定着している「電子レンジ」という言葉ですが、実はこれは和製英語です。英語圏では一般的に「microwave oven」、あるいは単に「microwave」と呼ばれます。この言葉の成り立ちやユニークな動詞としての使い方を知ると、日常会話がもっと楽しくなります。
日本語の「レンジ」はもともとガスやオーブンなどの「調理かまど(range)」を指す言葉で、そこに「電子」を組み合わせた日本独自の造語です。一方、英語の「microwave」は、直訳すると「マイクロ波(極超短波)」となります。食品の水分をマイクロ波で振動させて加熱するという、科学的な仕組みがそのまま家電の名前になっているのが特徴です。
英語の「microwave」の最も面白い特徴は、名詞としてだけでなく「動詞」としても日常的に使われる点です。「お弁当を電子レンジで温める」と言いたい時、「I will microwave my lunch.」と表現できます。わざわざ「use a microwave(電子レンジを使う)」と言わなくても通じる、非常に便利でスマートな表現です。
さらにカジュアルな日常会話やスラングでは、電子レンジで温める(チンする)ことを「nuke(ニューク)」や「zap(ザップ)」と表現することがあります。「nuke」はもともと「核兵器」や「核攻撃する」という物騒な意味を持つ単語ですが、「強力なエネルギーで一気に加熱する」という大げさなイメージから、アメリカを中心によく使われるようになりました。「I’ll nuke the pizza.(ピザをチンするね)」のように、日常的に登場するユーモアたっぷりのスラングです。また、「zap」はSF映画のレーザー銃の「ビビッ!」という擬音語から来ており、こちらも電磁波を当てるイメージにぴったりですね。
文法的な使い方としては、電子レンジ「で」調理すると言いたい場合、前置詞は「in」を使います。「Cook it in the microwave.(電子レンジで調理して)」のように、レンジという箱の中(空間)に入れる意識から「in」が選ばれるのがポイントです。
このように、英語における「電子レンジ」の表現は、科学的な名称から始まり、実用的な動詞への変化、さらには少し大げさでユーモアのあるスラングにまで発展してきました。身近な家電一つをとっても、言葉の進化や英語圏の人々の遊び心が垣間見えて面白いですね。
