日本の学生にとって英語学習の必須アイテムとも言える「単語帳」ですが、実は英語圏には全く同じ形のものはあまり存在しません。そのため、英語で表現する際には、自分がどのようなものを使っているかによって言葉を選ぶ必要があります。
リングで束ねられた手のひらサイズの「単語カード」を指す場合、最も一般的な英語は「flashcards」です。表に英単語、裏に意味を書いてペラペラと「瞬間的(flash)に見せる」という使い方からこの名前が付きました。欧米ではリングで綴じるよりも、少し大きめのインデックスカード(情報カード)を箱に入れて使うスタイルが主流です。一方、書店で売られているような「単語集・英単語の本」を指す場合は、「vocabulary book」や「word book」と表現するのが自然です。
単語帳と言えば「暗記」ですが、英語で「暗記する」は「learn by heart」と表現します。直訳すると「心で学ぶ」となりますが、これは古代ギリシャ時代、記憶や知性の宿る場所は脳ではなく「心臓(heart)」であると信じられていたことに由来します。頭ではなく、心に深く刻み込むように覚えるというニュアンスが込められている素敵な表現ですね。
また、単語帳を使ってテスト前日に徹夜で詰め込み勉強をするような行為は「cram」と言います。「cram school」で「学習塾(予備校)」を意味するように、知識を頭にぎゅうぎゅうに詰め込む様子を表す単語です。
文法的な注意点として、「flashcards」は通常、複数形で使われます。カード1枚だけで勉強することはなく、複数枚の束になっているのが前提だからです。「I made flashcards.(単語帳を作った)」のように、日常会話で使う際は常に「s」をつけるのがポイントです。
このように、「単語帳」という身近な学習ツール一つをとっても、日米の文房具のスタイルの違いや、「暗記」に対する歴史的な捉え方の違いが見えてきます。次に「flashcards」をめくる時は、ただの作業ではなく「心(heart)に刻む」ことを意識してみてはいかがでしょうか。
