英語で「名前」はご存知の通り「name」ですが、苗字や名前の成り立ち、そして名前にまつわる慣用句を探ると、英語圏の歴史や文化が色濃く反映されていることが分かります。
私たちが普段「下の名前」「苗字」と呼んでいるものは、英語では一般的に「first name(または given name)」「last name(または family name)」と呼ばれます。また、苗字を表す少しフォーマルな単語に「surname」があります。これは「sur(上に、追加して)」+「name(名前)」が組み合わさった言葉です。中世ヨーロッパで人口が増え、個人の名前だけでは同姓同名が多くなり見分けがつかなくなったため、「追加された名前」として苗字が誕生したという歴史を物語っています。
英語圏の「苗字(last name)」の由来を見ていくと、当時の人々の生活が透けて見えます。例えば、英語圏で最も多いとされる苗字「Smith(スミス)」は「鍛冶屋」という職業に由来します。他にも「Baker(パン屋)」や「Taylor(仕立て屋)」など職業由来のものは非常に豊富です。また、「Johnson」や「McDonald」のように「~の息子(son / Mc)」という父親の名前をベースにしたものや、「Hill(丘)」や「Wood(森)」といった住んでいる場所の地形に由来するものなど、成り立ちは様々です。
名前にまつわる慣用句で特に注意したいのが、「call someone names」という表現です。「名前を呼ぶ」という意味に思えますが、nameが複数形になることで「(人)の悪口を言う、罵る」という全く異なる意味に変化します。「He called me names.(彼は私の悪口を言った)」のように使われるため、誤解しないよう注意が必要です。一方で、ポジティブな表現としては「make a name for oneself」があり、これは「名を揚げる、有名になる」という意味で使われます。
文法や文化的な特徴としては、尊敬する人物や親族の名前を受け継ぐ「name after(~にちなんで名付ける)」という表現が頻繁に使われます。ミドルネーム(middle name)も、祖父母の名前や宗教的な聖人の名前を付けるために使われることが多く、血縁や信仰を重んじる文化の表れと言えます。
このように、英語における「名前」は単なる個人を識別する記号ではなく、先祖の職業や家族の歴史、関係性を表すアイデンティティの一部です。身近な英語名に触れた際、そのルーツを想像してみると新しい発見があるかもしれません。
