日本語で「一覧」や「名簿」と言えば、真っ先に思い浮かぶ英単語は「list」でしょう。しかし、英語圏では目的や内容に応じて様々な「一覧」を表す言葉が使い分けられており、その語源には昔の人々の生活の知恵が隠されています。
最も一般的な「list」は、名前や項目がシンプルに順番に並んだものを指します。これに対し、商品の画像や詳細な説明が添えられた一覧は「catalog(カタログ)」、企業の在庫や備品など、数や価値を詳細に記録した一覧表は「inventory」と呼ばれ、特にビジネスシーンで厳密に区別されます。また、電話番号や住所などのデータが系統立てて整理された一覧は「directory」、本の巻末にある索引一覧は「index」と表現されます。
日常的に使われる「list」ですが、その語源は中世にまで遡り、もともとは「細長い布の切れ端」や「紙の帯」を意味する言葉でした。かつて人々が備忘録として、細長い紙切れや布の端に項目を書き連ねていたことから、その「書かれた媒体」自体を指す言葉が、やがて「一覧表」や「名簿」そのものを意味するようになったのです。
「一覧」にまつわるユニークな表現として、近年日本でも定着しつつある「bucket list(バケットリスト)」があります。これは「死ぬまでにやりたいことの一覧」という意味です。「kick the bucket(バケツを蹴る=首を吊る時の足場を蹴る=亡くなる)」という英語の古いスラングが由来となっており、映画のタイトルにもなったことで広く知られるようになりました。また、オーディションや採用面接などで最終候補者のリストを「shortlist」と呼び、「be shortlisted(最終選考のリストに残る)」のように動詞としても頻繁に使われます。
文法的な面白さとして、「リストに載っている」と言う場合、前置詞は「in」ではなく「on」を使い、「on the list」と表現するルールがあります。これは、語源である「細長い紙の表面」の上に文字が書かれているという視覚的なイメージが、現代の文法にもそのまま色濃く残っているためです。
このように、私たちが普段何気なく使っている「一覧」や「リスト」という言葉にも、情報を整理し記録してきた人々の歴史が詰まっています。次に何かのリストを作る時、この言葉の成り立ちを思い出すと、少しだけ作業が楽しくなるかもしれません。
