アルファベットの第15文字である「O」。たった1文字の記号に過ぎないと思われがちですが、英語における「O」には、単なる文字の枠を超えた面白く多様な使われ方や歴史が隠されています。
日常会話で最も頻繁に耳にする「O」の特殊な使い方は、数字の「ゼロ(0)」の代わりとして読まれるケースです。例えば、ホテルの部屋番号「204」は「two oh four(ツー・オー・フォー)」、電話番号や年号でも「oh」と発音されることが多々あります。かの有名なスパイ映画の主人公ジェームズ・ボンドのコードネーム「007」も「ダブル・オー・セブン」と読みますよね。これは、数字の「0」とアルファベットの「O」の形が似ていること、そして「zero」よりも「oh」の方が1音節で短く発音しやすいという実用的な理由から定着しました。
また、時間を表す時に欠かせない「o’clock(〜時)」にも「o」が使われています。このアポストロフィ(’)を伴う「o’」は、実は「of the」が省略された形です。つまり「5 o’clock」は、もともと「5 of the clock(時計の示す5)」という意味だったものが、時代とともに短縮されて現在の形になりました。
同じくアポストロフィを伴う「O’」は、人名でもよく見かけます。「O’Brien(オブライエン)」や「O’Connor(オコナー)」といったアイルランド系の名字です。この「O’」は、ゲール語で「〜の子孫」や「〜の孫」を意味しており、「ブライエンの子孫」といった一族のルーツを表す誇り高き記号として機能しています。
さらに、感情を表す間投詞の「O」と「Oh」にも明確な違いがあります。驚きや落胆を表す際によく使うのは「Oh」ですが、詩や宗教的な祈りの中で神や人へ呼びかける際には「O」単体が使われます(例:「O Lord(おお、主よ)」)。この場合、「O」は必ず大文字で書かれるというルールが存在します。
たった1文字の「O」ですが、数字の代役を務めたり、時間を告げたり、人々のルーツを示したりと、英語圏の生活や文化に深く根付いています。次に「O」を見かけた時は、それがどんな役割を果たしているのか、少し立ち止まって考えてみるのも面白いかもしれません。
