英語学習において、多くの人が一度は壁に感じるのが「文型」です。SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCといういわゆる「5文型」の暗記に苦労した経験がある方も多いでしょう。しかし、これは単なる退屈な文法ルールではなく、英語という言語を読み解くための「設計図」そのものです。
そもそも、なぜ文型が重要なのでしょうか。それは、英語が「語順の言語」だからです。日本語は「私が・リンゴを・食べる」でも「リンゴを・私が・食べる」でも、助詞(てにをは)のおかげで意味が通じます。一方、英語には助詞がないため、「I eat an apple」の順番を崩すと意味が破綻してしまいます。単語をどの位置に置くかによって「誰が」「何を」したのかが決まるため、その配置パターンである文型が絶対的なルールとなるのです。
この5文型にまつわる面白い雑学として、「ネイティブスピーカーは5文型を知らない」という事実があります。実はこの分類は、1904年にイギリスの語学者C.T.オニオンズが提唱した理論をベースにしています。それを日本の英語教育がいち早く取り入れ、現在まで教え続けているのです。そのため、アメリカやイギリスの一般人に「第4文型って何?」と聞いても、ほとんどの人が「聞いたことがない」と答えます。
また、文型が違うだけで同じ動詞でも意味がガラリと変わるという、マジックのような特徴があります。代表的なのが「make」です。例えば、後ろに名詞を2つ並べる第4文型(SVOO)では「He made me a cake.(彼は私にケーキを作ってくれた)」となります。しかし、第5文型(SVOC)になると「He made me a star.(彼は私をスターにした)」となり、「作る」という意味から「〜にする」という意味に変化します。文の形が単語の意味を決定づけているのです。
文型をマスターする最大のメリットは、「知らない動詞の意味を推測できる」ことです。例えば、ある未知の動詞が「SVOO(動詞+人+物)」の形で並んでいたら、どんな動詞であっても「人に物を与える・伝える」という意味合いが含まれます。「SVOC」なら「OをCの状態にする・保つ」という意味になります。つまり、文型は単語帳の代わりになる強力なツールなのです。
一見すると無味乾燥な記号の羅列に見える「5文型」ですが、実は複雑な英文をシンプルなパズルに変えてくれる魔法の法則です。次に英語の長文を読む際は、単語の意味だけでなく「どのパターンの箱に入っているか」に注目してみてください。英語の構造が驚くほどスッキリと見えてくるはずです。
