お出かけや仕事に欠かせない「鞄(かばん)」。英語で表現する際、最も身近な単語は「bag」ですが、用途や地域による呼び方の違い、そして鞄にまつわるユニークな慣用句を知ると、英語圏の生活文化がより面白く見えてきます。
日本語では手提げもリュックもまとめて「鞄」と呼べますが、英語では形や目的によって細かく名前が変わります。例えば、女性が持ち歩くような手提げ鞄は、アメリカ英語では「purse」と呼ばれることが多いですが、イギリス英語では「handbag」が一般的です。イギリスで「purse」と言うと「小銭入れ」や「女性用財布」を指すため注意が必要です。また、ビジネス用の書類カバンは「briefcase」と呼ばれます。この「brief」には「短い」という意味だけでなく「要約、訴訟書類」といった意味があり、弁護士などの法曹関係者が書類を持ち運んだことに由来しています。
鞄にまつわる英語の慣用句には、かつての生活の様子やユーモアがたっぷり詰まっています。有名なものに「let the cat out of the bag(秘密を漏らす)」という表現があります。直訳は「鞄から猫を出す」ですが、これは昔の市場での詐欺行為に由来します。子豚を袋に入れて売るふりをして、こっそり価値の低い猫を入れ、客が袋を開けた瞬間に猫が飛び出して嘘がバレた、という滑稽なエピソードから生まれた言葉です。
また、勝利や成功が確実な状態を「in the bag」と表現します。これは狩猟で捕らえた獲物を袋に入れた状態、つまり「もう逃げられない=確実に手に入れた」という状況から派生しました。さらに、良いものと悪いものが入り混じっている状態を「a mixed bag(玉石混交)」と呼ぶなど、鞄は状況を分かりやすく例えるツールとして日常会話に溶け込んでいます。
文法的な注意点として、旅行用の大きな鞄や手荷物全体を指す「luggage(主に英)」や「baggage(主に米)」は、「不可算名詞(数えられない名詞)」として扱われます。「bag」は「two bags」と複数形にできますが、荷物の集合体であるluggageは「two pieces of luggage」と数えるのが正しいルールです。
このように、英語における「鞄」は単なる道具の名前ではなく、国ごとの文化の違いや、昔の人々の市場でのやり取りまでをも包み込んでいます。普段何気なく持ち歩いている鞄も、英語の視点から見つめ直すと、また違った面白さを感じられるのではないでしょうか。
