健康志向の高まりとともに、日常的に食べられるようになった「雑穀米」。英語では「multigrain rice」や「mixed grain rice」と表現するのが一般的ですが、西洋と日本とでは「雑穀」に対するイメージや食べ方に興味深い違いがあります。
そもそも「雑穀」全体を指す便利な英単語は少なく、複数の穀物が混ざっている状態を「multigrain(多種の穀物)」と表します。パン屋さんでも「multigrain bread(雑穀パン)」という名前をよく見かけますね。日本の雑穀米を海外の人に説明する際は、「white rice mixed with various grains(様々な穀物を混ぜた白米)」と言うと、より正確に伝わります。
雑穀に含まれる「アワ」や「キビ」「ヒエ」などは、英語で「millet(ミレット)」と呼ばれます。実は欧米において、この「millet」は長らく「birdseed(小鳥の餌)」としてのイメージが定着していました。人間が主食として食べる習慣があまりなかったためですが、近年の健康ブームにより、グルテンフリーの栄養価の高い食材として見直され、今では健康食品店に並ぶようになっています。
さらに最近では、キヌアやアマランサスといった栄養価の高い雑穀が「superfood(スーパーフード)」や「ancient grains(古代穀物)」という魅力的なネーミングで親しまれています。古代から品種改良されずに現代まで残ってきた穀物へのリスペクトが込められた表現です。
「穀物の一粒」を意味する「grain」を使った慣用句も英語には存在します。例えば「take it with a grain of salt」という表現。直訳は「ひとつまみの塩と一緒に飲み込む」ですが、実際は「話を鵜呑みにしない、話半分に聞く」という意味で使われます。また、「a grain of truth」と言えば「ほんの少しの真実」という意味になり、穀物の一粒がいかに小さいものとして認識されているかが分かります。
食文化の観点から見ると、日本では「お米に混ぜて炊く」のが一般的ですが、欧米ではキヌアや大麦(barley)を茹でて「サラダに混ぜる」あるいは「スープの具にする」といった食べ方が主流です。
このように、英語の「雑穀」にまつわる背景を探ると、かつての「小鳥の餌」という認識から「古代のスーパーフード」への華麗なる転身や、食文化の違いが見えてきます。身近な健康食も、言語や文化のフィルターを通すとまた違った味わいを感じられるのではないでしょうか。
