日本の生活に欠かせない「燃えるゴミ」の分別。市役所や駅の案内表示では「burnable garbage」や「combustible waste」と表記されるのが一般的ですが、実は英語圏の人々の日常生活では、このような呼び方はほとんどされません。そこには、国ごとのゴミ処理における根本的な文化や地理的条件の違いが隠されています。
日本では国土が狭いため、ゴミを焼却して体積を減らす処理が主流です。そのため「燃える・燃えない」という基準で分別します。一方、アメリカやオーストラリアなど広大な国土を持つ国では、ゴミはそのまま土に埋める「埋め立て(landfill)」が一般的です。したがって、日常的には燃えるかどうかではなく、「recyclable(資源ゴミ)」、「compost(生ゴミなどの堆肥化できるもの)」、そしてそれ以外の「trash / garbage / rubbish(一般ゴミ)」という基準で分けられています。
地域による単語の使い分けも興味深いポイントです。アメリカ英語では主に「garbage」や「trash」が使われます。かつては「garbage」が台所から出る生ゴミなどの湿ったもの、「trash」が紙くずなどの乾いたものというニュアンスの違いがありましたが、現在ではほぼ同じ意味で使われています。
一方、イギリス英語では「rubbish」という単語が一般的です。「rubbish」には「くだらないこと」という意味もあり、会話の中で「That’s rubbish!(馬鹿げている!)」と相手の意見を一蹴する際にもよく使われます。
ゴミにまつわる素敵なことわざもあります。英語圏には「One man’s trash is another man’s treasure」という表現があり、直訳すると「ある人にとってのゴミは、別の人にとっての宝物である」となります。フリーマーケットなどでよく使われる言葉で、人の価値観はそれぞれ異なることを表しています。
また、動詞やスラングとしての使い方もユニークです。「trash」を動詞として使うと、「(部屋などを)めちゃくちゃに破壊する」や「酷評する」という意味になります。スポーツの試合前などで、相手の闘争心を煽るために悪口を言う「trash talk(トラッシュトーク)」も、この派生語です。
このように「燃えるゴミ」という言葉の背景を探ると、日本特有の住宅事情と、英語圏の広大な大地に基づくライフスタイルの違いが浮き彫りになります。私たちが毎日何気なく捨てているゴミですが、言語の視点から見つめ直すと、世界との文化の違いを感じる面白いテーマと言えるのではないでしょうか。
