アルファベットの2番目の文字である「b」。成績評価や血液型、身近な記号として日常的に目にする文字ですが、そのルーツや英語における発音のルールを紐解くと、意外な歴史的背景が見えてきます。
最初のアルファベット「A」と同じように、「B」の起源も約3000年前のフェニキア文字に遡ります。当時の文字「ベト(Beth)」はずばり「家」や「天幕(テント)」を意味していました。大文字の「B」を左に90度倒して見てみると、2つの部屋がある家の間取りや、丸い屋根のテントが並んでいる形に見えてきませんか?古代の人々の住居の形が、形を変えながら現代のアルファベットとして受け継がれているのです。
英語の単語において「b」が持つ面白い特徴の一つに、「発音されないB(Silent B)」の存在があります。例えば、髪をとかす「comb(コーム)」、爆弾の「bomb(ボム)」、借金の「debt(デット)」、疑う「doubt(ダウト)」などです。「m」の後ろや「t」の前にある「b」は発音されないことが多いのですが、これには歴史的な理由があります。過去の英語の発音が綴りに化石のように残ってしまったケースや、16世紀頃の学者たちが「ラテン語の本来の綴りに近づけよう」と、発音しないのにわざわざ綴りに「b」を足してしまったという、英語ならではの複雑な変遷のなごりなのです。
また、「B」を使った身近な表現に「Plan B(プラン・ビー)」があります。これは「代替案」や「第二の計画」を意味し、当初の予定(Plan A)がうまくいかなかった場合の備えとして、ビジネスから日常会話まで幅広く使われます。音楽用語の「B-side(B面)」も、かつてのアナログレコードの裏面に由来し、転じて「メインではないけれど隠れた名曲・裏側」といった意味合いで親しまれています。
いつも当たり前のように使っているアルファベットの「b」ですが、その形には古代の人々の生活空間が刻まれ、発音しない綴りには英語の歴史のドラマが隠されています。次に英単語を覚えるときは、ひっそりと隠れた「b」の存在とそのルーツに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
