日本の英語教育で必ずと言っていいほど登場する「5文型(SV・SVC・SVO・SVOO・SVOC)」。英語の文の骨組みを5つのパターンに分類したもので、学生時代に一生懸命暗記したという方も多いのではないでしょうか。しかし、この5文型には意外な事実と、知れば納得の深い役割が隠されています。
まず最も驚かれる雑学ですが、実はネイティブスピーカーのほとんどは「5文型」を知りません。アメリカやイギリスの学校の国語(英語)の授業では、このような教え方は一般的ではないのです。
では誰が作ったのかというと、20世紀初頭にイギリスの言語学者であるC.T.オニオンズという人物が提唱したものがベースになっています。それが日本に入ってき際、日本語と英語という全く異なる構造の言語を翻訳・理解するための「最強のツール」として最適だったため、日本の英語教育に深く根付いたと言われています。
ネイティブが意識していないなら学ぶ意味はないのか?というと、全くそんなことはありません。5文型の最大の魅力は、「動詞」が持つ本当の力を引き出せる点にあります。英語は、単語の並び順(文型)が意味を決定する言語です。
その面白さが一番よくわかるのが「make」という動詞です。文型が変わるだけで、意味がまるで手品のように変化します。
・SVO(第3文型):I made a cake.(私はケーキを作った)
・SVOO(第4文型):I made him a cake.(私は彼にケーキを作ってあげた)
・SVOC(第5文型):I made him happy.(私は彼を幸せにした)
・SVC(第2文型):She will make a good doctor.(彼女は良い医者になるだろう)
このように、同じ「make」でも、後ろに続く単語のパズルの型(文型)を見抜くだけで、正しい意味を確実に導き出すことができます。
また、難しい単語に出会ったときも5文型が助けてくれます。例えば「The news made me 〇〇.」の〇〇が全く知らない単語だったとしても、「S(ニュース)が O(私)を C(〇〇な状態)にした」というSVOCの型さえ分かっていれば、「そのニュースを聞いて私は〇〇という感情になったんだな」と文全体の意味を推測できるのです。
「SとかVとか、文法用語は堅苦しくて苦手」と感じる方も多いかもしれません。しかし、5文型は英語という広大な海を迷わず進むための「羅針盤」のようなものです。次に英語を読むときは、少しだけ「動詞の後ろの並び順」に注目してみてください。見慣れた英語の景色が、もっとクリアに見えてくるはずです。
