日本語で「ナッツ」といえば、アーモンドやカシューナッツ、ピーナッツなどを思い浮かべますよね。ですが、英語で「nut」というと、その範囲は少し違います。実は植物学的な定義と、日常会話での使い方がずれているんです。
まず、植物学でいう「nut(堅果)」は、固い殻に覆われていて、中に一つの種子が入っている果実のことを指します。この定義に当てはまるのは、意外にも「どんぐり(acorn)」や「ヘーゼルナッツ」などだけなんです。アーモンドやカシューナッツは実は「種子」や「核果」の仲間で、本来の意味でのナッツではありません。
ところが英語圏では、食文化の中で「nut」という言葉が広く使われるようになりました。ピーナッツ(peanuts)は名前に「nut」とついていますが、実際にはマメ科の植物。分類上は豆なんです。それでもスナックやチョコレートの仲間として親しまれているので、「nut」に含められています。つまり、日常的には「ナッツっぽいもの=nut」として扱っているんですね。
おもしろいのは、英語で「nut」には「頭がおかしい人」というスラング的な意味もあること。「He’s a real nut.」と言うと「彼は変わり者だ」というニュアンスになります。また「nuts about something」は「〜に夢中」という意味で使われます。「She’s nuts about tennis.」なら「彼女はテニスに夢中」という感じです。
こうしてみると、英語の「nut」は植物学、食文化、比喩表現でそれぞれ意味が広がっているのがわかります。日本語で「ナッツ」と聞くとおつまみのイメージが強いですが、英語ではもっと幅広いんですね。次に海外でナッツを買うときや、映画のセリフで「nut」という言葉を聞いたときに、「あ、これって植物の意味? 食べ物? それともスラング?」と考えてみると、ちょっと面白い発見があるかもしれません。