日本語の「謙遜」は、自分を控えめにして相手を立てる態度を指します。日本の文化ではとても大切な価値観ですが、英語では少し違う形で表現されます。最も近い言葉は「humility(ヒュミリティ)」や「modesty(モデスティ)」です。
「humility」は、宗教や哲学の文脈でもよく使われる言葉で、「自分を誇らない」「他人を尊重する」といった深い意味があります。「He showed great humility(彼は大きな謙虚さを見せた)」のように、内面的な姿勢を表すときに使います。どちらかというと心のあり方を指す言葉です。
一方、「modesty」はもう少し日常的で、言葉づかいや態度が控えめな人を表します。「She accepted the compliment with modesty(彼女は褒め言葉を控えめに受け取った)」のように、場面に応じた慎みのある態度を指します。つまり、「humility」は内面の謙虚さ、「modesty」は外に表れる控えめさ、という違いがあります。
ただし、英語では日本のように「自分を下げることで相手を立てる」という文化的な謙遜はあまり一般的ではありません。たとえば、誰かに「Your English is great!」と言われたとき、「No, I’m not good at all.(いえ、全然ダメです)」と返すと、相手は本気で「そう思っているんだ」と受け取ってしまうことがあります。英語では「Thank you! I’m still learning.(ありがとう、まだ勉強中です)」のように、感謝を伝えながらも少しだけ控えめに答えるのが自然です。
つまり、英語の「謙遜」は「自分を下げる」ことではなく、「他人を敬い、自分を誇りすぎないこと」でもあります。「Be humble, not proud(謙虚であれ、驕らないように)」という言葉にあるように、英語でも謙遜は人間関係を円滑にする美徳とされています。文化の違いを意識しながら、英語らしい「謙遜のかたち」を見つけていけるといいですね。
