英語の「Saturday(土曜日)」は、曜日の中でも少し特別です。なぜなら、唯一ローマ神話の神の名前がそのまま残っているからです。「Saturday」は「Saturn’s day(サターンの日)」が語源。Saturn(サターン)はローマ神話の農耕の神で、豊かさや時間を司る存在でした。
ほかの曜日が北欧神話の神々に置き換えられたのに対し、土曜日だけはラテン語の名残が色濃く残りました。これは古英語やゲルマン語に相当する神がいなかったためとも言われています。その結果、今も英語では「サターンの日」として受け継がれているのです。
一方、ラテン語系の言語ではまた少し違います。フランス語の「samedi」やスペイン語の「sábado」は、ラテン語の「sabbatum(安息日)」が由来です。これはユダヤ教やキリスト教の伝統で、土曜日を「休む日」と考える習慣から来ています。つまり、西洋の中でも地域によって「神の名前の日」と「休息の日」という二つの由来が混在しているんですね。
日本語の「土曜日」は、五行思想で「土」の要素をあてています。大地や安定を象徴する「土」は、週の締めくくりにふさわしいイメージです。偶然にも、サターンもまた「大地や農耕」に関わる神。東西で別々に決めたはずなのに、結果的に似たイメージが重なっているのは不思議で面白いですね。
週末を迎える土曜日。由来を知ると、「休息」と「豊かさ」を象徴する特別な日として、より大切に過ごしたくなるかもしれません。