パンは世界中で食べられている主食のひとつですが、英語でもパンを使った表現がたくさんあります。言葉のなかに登場するだけでなく、文化や価値観もにじみ出ています。
まず有名なのは「bread」が「生活の糧」という意味で使われること。「break bread with someone(誰かとパンを分け合う)」は「一緒に食事をして親しくなる」という意味です。パンを分け合うことが友情や信頼の象徴になっているんですね。
また、「breadwinner」という言葉もあります。直訳すると「パンを稼ぐ人」ですが、実際は「家計を支える人」という意味です。パンが日常生活に欠かせない食べ物だったからこそ、収入や暮らしを表す言葉に結びついたのでしょう。
「the best thing since sliced bread(スライスされたパン以来の最高の発明)」というユーモラスな表現も面白いところです。パンが便利に切られて売られるようになったのは20世紀に入ってからで、その便利さが強烈な印象を残したため、今でも「最高だ!」という意味で使われています。
ほかにも、「to know which side your bread is buttered on(自分のパンのどちら側にバターが塗られているかを知っている)」は、「自分の利益や立場をよく理解している」という意味。パンとバターというシンプルな組み合わせが、生活感あふれる比喩になっています。
パンはただお腹を満たすものではなく、人と人をつなぐ象徴でもありました。英語の中にちりばめられたパンの表現を知ると、言葉の奥にある生活の温かさを感じられるかもしれませんね。