「迷宮」は、英語では「labyrinth(ラビリンス)」と「maze(メイズ)」という2つの言葉がよく使われますが、少しニュアンスが違います。
「maze」は、いくつもの分かれ道や行き止まりがある「迷路」を指します。遊園地の迷路や「corn maze(トウモロコシの迷路)」のように、出口を探すことを目的とした構造ですね。
一方で「labyrinth」は、「迷宮」と訳されることが多く、より神秘的で象徴的な言葉です。古代ギリシャ神話のミノタウロスの物語に登場する「Labyrinth」は、人間が自分自身や真実を探し求める象徴でもありました。そのため、文学や映画では「the labyrinth of the mind(心の迷宮)」や「a labyrinth of memories(記憶の迷宮)」のように、内面的な混乱や深い探求を表すときに使われます。
つまり、英語で「迷宮」と言いたいとき、「maze」は現実的で遊び心のある迷路、「labyrinth」は哲学的で謎めいた空間を指すことが多いです。
また、日常会話では「I got lost in a maze of streets(道の迷路に迷い込んだ)」のように、都市の複雑さをたとえることもあります。比喩的に「a maze of rules(複雑な規則の迷路)」といえば、整理しにくい制度や仕組みを表現できます。
「迷宮」という言葉には、単なる空間以上の意味があります。英語でも「maze」と「labyrinth」を使い分けることで、現実の混乱と心の迷い、どちらの世界も描き分けることができるのが面白いですね。
