「泥」は英語で基本的に「mud」と言います。雨のあとに地面がぬかるんでいるとき、「The road is covered with mud(道が泥で覆われている)」のように使います。とても身近な単語ですが、英語ではさまざまな場面で比喩的にも使われています。
まず、日常の表現としては「muddy(泥だらけの)」という形容詞もよく登場します。「muddy shoes(泥のついた靴)」や「muddy water(濁った水)」のように、見た目や状態を表す言葉です。また、「get stuck in the mud(泥にはまる)」は、文字通り車や足が動けなくなる意味でも、比喩的に「物事が進まない」という意味でも使われます。
面白いのは、「throw mud」という表現です。これは直訳すると「泥を投げる」ですが、「中傷する」「悪口を言う」という意味になります。政治の世界などで「mud-slinging(泥の投げ合い)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。まるで泥を投げ合って相手を汚すように、互いを攻撃することを指します。
一方で、泥には癒しのイメージもあります。「mud bath(泥風呂)」や「mud mask(泥パック)」のように、美容や健康の分野では「mud」はむしろ体をきれいにする素材として使われています。汚れたものが浄化の象徴に変わるのは、ちょっと不思議で面白いですね。
つまり「mud」は、単に「汚れたもの」ではなく、状況や文脈によって「停滞」「争い」「癒し」などさまざまな意味を持つ言葉なんですね。
