「滝」を英語で表現すると一般的には「Waterfall」ですが、実はその規模や形状によって様々な呼び分けが存在します。
まず、階段状に連なって流れる小規模な滝は「Cascade(カスケード)」と呼ばれます。庭園の人工滝などでよく使われる言葉です。一方で、ナイアガラの滝のような大規模で水量の多い滝は「Cataract(カタラクト)」と表現されることがあります。この言葉には「大瀑布」というニュアンスのほかに、医学用語で「白内障」という意味も含まれています。瞳が白く濁る様子が、激しく泡立つ白い滝のように見えたことが由来と言われています。
また、形状に注目した呼び名もあります。岩肌に沿って細く流れる滝は、馬の尻尾に似ていることから「Horsetail(ホーステイル)」、一度空中に飛び出して垂直に落ちるものは「Plunge(プランジ)」と呼ばれます。
世界最大の落差を誇るベネズエラの「エンジェル・フォール(Angel Falls)」についても面白い雑学があります。その名前から「天使の滝」という神聖な由来を想像しがちですが、実際には1933年にこの滝を発見したアメリカ人パイロット、ジェームズ・エンジェル氏の名前にちなんで命名されました。宗教的な意味ではなく、発見者の人名が由来なんですね。
ビジネスやソフトウェア開発の世界でも「Waterfall」という言葉は頻繁に登場します。「ウォーターフォール・モデル」は、開発工程を上から下へと順番に進めていく手法を指します。水が高いところから低いところへと流れ落ち、決して逆流しない滝の性質を、原則として後戻りしない開発プロセスになぞらえています。
英語の「滝」は、その背景や用途に応じて多彩な表現やエピソードが紐付いているのが面白いですね。
