日常会話からビジネス、メールの返信まで、私たちは一日に何度も「OK」という言葉を使います。世界で最も認知されている英単語と言われていますが、その成り立ちには諸説あり、当時のアメリカの流行や政治が深く関わっています。
最も有力な説は、1830年代のボストンで流行した「綴り間違い遊び」に由来するというものです。当時、若者の間で言葉をわざと誤った綴りで略すことが流行していました。「All Correct(すべて正しい)」をあえて「Oll Korrect」と書き、その頭文字を取って「OK」としたのが始まりだとされています。現代のネットスラングのような感覚が、200年近く残っていると考えると非常に興味深い現象です。
この「OK」を世界中に広めるきっかけとなったのが、1840年のアメリカ大統領選挙です。再選を目指していたマーティン・ヴァン・ビューレン大統領の出身地がニューヨーク州の「Kinderhook」だったため、彼の愛称は「Old Kinderhook」でした。支持者たちが「Old KinderhookはOKだ!」というスローガンを掲げて「OKクラブ」を結成したことで、この言葉は爆発的に普及しました。
派生した表現として、さらに強調された「A-OK(エー・オーケー)」という言葉もあります。これは1961年にアメリカ初の有人宇宙飛行を成功させたアラン・シェパードが使用したことで広まりました。「完璧に順調だ」という意味で、NASAの通信担当者が「Antenna-OK」を略して「A-OK」と呼んだことが由来と言われています。
文法的には、OKは形容詞、副詞、名詞、さらには動詞としても機能する万能な単語です。「The manager OK’d the project.(部長がプロジェクトを承認した)」のように、動詞として使われることも珍しくありません。
何気なく使っている「OK」という二文字には、当時の若者の遊び心や大統領選挙の戦略、そして宇宙への挑戦といった壮大な歴史が刻まれています。次にこの言葉を使うときは、その背景にある「すべて順調」というポジティブなエネルギーを感じてみてはいかがでしょうか。
