英語で暦の「月」を意味する「month」という言葉。その綴りを見ればわかる通り、夜空に浮かぶ「moon(月)」と深い関わりがあります。もともと暦は月の満ち欠けを基準に作られていたため、英語においても「月(天体)」と「月(期間)」は同じルーツを持つ言葉なんです。
1月から12月までの各月の名前を紐解くと、古代ローマの神話や歴史が色濃く反映されています。例えば、1月の「January」は、物事の始まりと終わりを司る二面相の神「ヤヌス(Janus)」に由来します。過去と未来の両方を見つめるその姿から、一年の始まりの月として名付けられました。また、2月の「February」は、ローマで行われていた清めの儀式「フェブラ(Februa)」が語源となっており、「反省と浄化の月」という意味が込められています。
面白いのは、後半の月たちの名前です。7月の「July」はユリウス・カエサルに、8月の「August」は初代ローマ皇帝アウグストゥスにちなんで名付けられましたが、これにより後の月の名前に「ズレ」が生じることになりました。
実は、ラテン語の数詞がそのまま語源となっている月があります。「September(9月)」の「Sept」は「7」、「October(10月)」の「Oct」は「8(タコ=Octopusと同じ)」、「November(11月)」の「Nov」は「9」、「December(12月)」の「Dec」は「10」を意味します。かつてのローマ暦は3月(March)から始まっていたため、もともとは「7番目の月、8番目の月……」と正しく並んでいました。しかし、後に1月と2月が先頭に加わり、さらに皇帝たちの名前の月が挿入されたことで、現在の「2ヶ月分ズレた名前」のまま定着してしまったのです。
英語の日常表現には、月を使った面白い慣用句もあります。「a month of Sundays」という表現がありますが、これは直訳すると「日曜日の1ヶ月分(=日曜日が30回分)」となり、転じて「非常に長い間」や「永遠に近い時間」を意味します。かつての日曜日が娯楽を禁じられた静かな日であったことから、それが長く続く感覚を表現したと言われています。
また、英語で月の名前を書く際には、文の途中であっても必ず最初の文字を大文字にするというルールがあります。これは、それぞれの月が神や皇帝に由来する「固有の固有名詞」として尊重されているためです。
このように、英語の月の名前には、天体の動きから古代皇帝の権力争いまで、数千年の歴史が刻まれています。カレンダーをめくる際、その名前の裏にある壮大な物語に目を向けてみると、英語学習がよりいっそう深まるはずです。
