英語で「月(暦)」を意味する単語は「month」ですが、この言葉の背景を探ると、人類と天体の長い関わりが見えてきます。
まず「month」の語源ですが、これは「月(天体)」を意味する「moon」と深く結びついています。古代の人々は、月の満ち欠けの周期(約29.5日)を時間の単位として利用していました。そのため、ゲルマン語派の言葉で「月(天体)」を指す言葉が変化して、期間を表す「month」になったのです。日本語でも「月」という漢字が天体と暦の両方に使われるのと、全く同じ発想なのは非常に興味深い点です。
英語の1月から12月の名前には、古代ローマの神話や歴史が色濃く反映されています。例えば、1月の「January」は、物事の始まりと終わりを司る二面相の神「ヤヌス(Janus)」に由来します。一方、7月の「July」はユリウス・カエサル、8月の「August」は初代ローマ皇帝アウグストゥスという、実在した権力者の名前にちなんでいます。
少しややこしいのが、9月から12月の名前です。9月は「September」ですが、この語源はラテン語で「7」を意味する「septem」です。同様に10月(October)は「8」、11月(November)は「9」、12月(December)は「10」を意味する数字が隠れています。これは、古代ローマの初期の暦が3月(March)から始まる10ヶ月制だったため、2ヶ月分のズレが生じたまま現代に伝わっているためです。
「月」を使ったユニークな慣用句も紹介しましょう。流行り廃りを表す言葉に「Flavor of the month」があります。「今月のフレーズ(味)」ということから、「今だけもてはやされている人や物」「一過性の流行」を指します。アイスクリームショップが月替わりで特定の味を勧めるキャンペーンが由来と言われています。
文法的なルールとして、英語の月名は必ず「大文字」で書き始めるという決まりがあります。これは、それぞれの月が神や皇帝の名前に由来する「固有の名詞」として、敬意を持って扱われている証でもあります。
カレンダーをめくるたびに目にする英語の月名。その一文字一文字には、天体のリズムと、それを捉えようとした古代の人々の歴史が息づいているんですね。
