英語で「動物」は「animal」と表現されますが、その使い分けや慣用句、さらには歴史的な背景を紐解くと、人間と動物が築いてきた長い歴史と、英語特有のユニークな視点が見えてきます。
まず、英語には動物を指す言葉が複数あります。一般的な「animal」のほか、生命全般を指す「creature(生き物)」、野生の荒々しさを強調する「beast(獣)」など、文脈によって使い分けられます。また、ペットを「companion animal(伴侶動物)」と呼ぶことも増えており、動物に対する意識の変化が言葉にも反映されています。
英語の面白い特徴の一つに、動物の「群れ」を表す言葉の多様性があります。日本語では「〜の群れ」と一括りにしがちですが、英語では動物の種類ごとに異なる単語を使います。例えば、ライオンの群れは「a pride of lions」、魚の群れは「a school of fish」、カラスの群れにいたっては「a murder of crows(カラスの殺人事件?)」という衝撃的な表現が使われます。これらは中世の狩猟文化の中で、それぞれの動物の性質を言い表すために発達した独自の文化です。
また、食卓に並ぶ「肉」の名前と「生きている動物」の名前が異なるのも、英語の歴史が生んだ大きな特徴です。生きている牛は「cow」、豚は「pig」ですが、食肉になると「beef」や「pork」に変わります。これは11世紀、フランス語を話すノルマン人がイギリスを支配した際、家畜を育てる農民(英語話者)と、その肉を食べる貴族(フランス語話者)で言葉が分かれたことに由来します。
動物を使った慣用句には、人間関係や社会の心理を突いたものが多く存在します。例えば「the elephant in the room」という表現があります。「部屋の中に象がいる」という状況、つまり「誰もが気づいているのに、あえて触れようとしない大きな問題」を指します。他にも、落ち着かない様子を「have butterflies in one’s stomach(胃の中に蝶がいる)」と表現したり、忍耐を促す際に「hold your horses(馬を抑えて=落ち着いて)」と言ったりします。
さらに、動物の「鳴き声」の表現(オノマトペ)も日本語とは大きく異なります。犬は「woof(ウーフ)」、猫は「meow(ミャオ)」、鶏は「cock-a-doodle-doo(クックドゥドゥルドゥー)」と聞こえるようです。これらは言語による耳のフィルターの違いを感じさせる興味深いポイントです。
このように、英語における「動物」は、単なる生物の分類を超えて、歴史的な階級社会の名残や、人間の感情を比喩的に表す豊かな語彙の宝庫となっています。身近な動物たちの名前やフレーズを通じて、英語という言語の持つ多様な側面を楽しんでみてはいかがでしょうか。
