英語で「宇宙」を表現する際、私たちは主に「space」「universe」「cosmos」という3つの単語を使い分けます。これらはすべて日本語では「宇宙」と訳されますが、その背後にある視点やニュアンスは大きく異なります。
最も日常的に使われるのが「space」です。これはもともと「空間」や「空き地」を意味する言葉であり、地球の大気圏の外側に広がる「何もない物理的な空間(outer space)」を指します。一方、「universe」は「uni(一つ)」と「verse(回転する)」が組み合わさった言葉で、星も銀河も時間も空間もすべて含んだ「全存在」「万物」としての宇宙を意味します。そして「cosmos」は、ギリシャ語の「秩序」に由来し、混沌(カオス)の対義語として、調和のとれた美しい体系としての宇宙を指す哲学的な響きを持つ言葉です。
宇宙にまつわる慣用句には、人々の感情や思考のスケールを映し出すユニークなものが多くあります。例えば、非常に喜んでいる様子を「over the moon(月を飛び越えるほど嬉しい)」と言います。また、何かがそれほど難しくないことを伝える際に「It’s not rocket science.(ロケット工学ほど難しくはない)」という皮肉交じりの表現を使うのも、宇宙開発が「究極の難問」の代名詞となっている英語圏らしい言い回しです。
また、「space」という単語が持つ「ゆとり」や「距離」というニュアンスは、人間関係にも応用されます。相手に対して「I need some space.」と言えば、それは物理的な宇宙の話ではなく、「一人になる時間が必要だ」「少し距離を置きたい」という心理的なスペースを求めていることになります。
文法的な注意点として、大気圏外の宇宙を指す「space」には、通常、定冠詞の「the」をつけません。「go to space(宇宙へ行く)」と言うのが一般的です。一方で、唯一無二の存在としての「the universe」や「the cosmos」には必ず「the」を伴います。この使い分けは、英語話者が宇宙を「広大な広がり(不可算)」として捉えるか、「一つの完成された系(可算)」として捉えるかの違いを反映しています。
このように、英語の「宇宙」という言葉を掘り下げると、単なる科学的な対象としてだけでなく、心の距離感や知性の象徴として宇宙を捉える文化的な視点が見えてきます。身近な「space」という言葉一つにも、実は無限の広がりが隠されているのですね。
