子供から大人まで親しまれる「絵本」。英語では「picture book」と呼ぶのが一般的ですが、その種類や歴史、読み聞かせにまつわる表現を知ると、英語圏の教育文化や豊かな表現の世界が見えてきます。
英語の「絵本」は、形状や対象年齢によって呼び方が細かく分かれます。例えば、赤ちゃん向けの厚紙でできた丈夫な本は「board book」と呼ばれます。また、物語が主体の「storybook」や、ページが飛び出す「pop-up book」など、その特徴を捉えた名称が使われます。一般的に「picture book」という場合は、絵が物語の展開に不可欠な役割を果たしている本を指すことが多いのが特徴です。
絵本の歴史を辿ると、18世紀のイギリスに辿り着きます。「子供向けの本の父」と称されるジョン・ニューベリーが、それまで教育や宗教のためのものだった本を「楽しみ(pleasure)」のために出版したことが大きな転換点となりました。現在、アメリカで最も優れた絵本に贈られる「コールデコット賞」や、児童文学に贈られる「ニューベリー賞」は、こうした歴史を背景に誕生しました。
絵本の世界で欠かせない定型句といえば、「Once upon a time(むかしむかし)」があります。これは単なる時間の説明ではなく、「これから物語の世界に入ります」という魔法の合図のような役割を果たします。物語の終わりには「…and they lived happily ever after(それからずっと幸せに暮らしました)」という決まり文句が添えられるのが定番で、これらは英語圏の子供たちが最初に覚える「物語の型」でもあります。
また、本にまつわる慣用句には「An open book」という表現があります。「隠し事がない人」や「非常に分かりやすい状況」を指し、誰でも開いて読むことができる本に例えられています。逆に、理解しにくい人を「A closed book」と呼ぶこともあり、本が知識だけでなく「人の性質」を例える身近な道具であることを示しています。
文法的な使い方で興味深いのは、読み聞かせをする際の表現です。「子供に本を読んであげる」と言うとき、英語では「Read a book to a child」と前置詞の「to」を使います。これは、言葉を子供の方へ「届ける」というニュアンスが含まれているためです。一方で、一緒にページをめくりながら楽しむ場合は「Read with a child」と表現され、共有する時間の温かみが強調されます。
このように、英語の「絵本」は単なる読み物ではなく、歴史的な変遷や、親子のコミュニケーション、さらには人の性格を表すメタファーとしても深く根付いています。一冊の絵本を通じて、英語という言語の持つリズムや温もりを感じてみてはいかがでしょうか。
