英語で「家電」を表現する際、一般的には「home appliances」や「household appliances」という言葉が使われます。しかし、英語圏の文化や歴史を覗いてみると、色による分類やブランド名が一般名詞化した表現など、非常にユニークな側面が見えてきます。
家電製品を語る上で欠かせないのが、「white goods(白い製品)」という表現です。これは冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどの大型家電を指します。かつてこれらの製品の多くが白色だったことに由来します。日本語でも「白物家電」と言いますね。
一方で、テレビやオーディオ機器などの娯楽用家電は「brown goods(茶色い製品)」と呼ばれます。昔のテレビやラジオの外装が木製(茶色)だった頃の名残です。ただ、こちらは日本語では「黒物家電」と言いますね。現代ではカラフルな家電が増えましたが、英語では日常表現として今でも息づいています。
個別の家電名にも面白いエピソードがあります。例えば「冷蔵庫」を意味する「refrigerator」ですが、日常会話では短く「fridge」と呼ぶのが一般的です。興味深いのはその綴りです。元の単語には「d」が含まれていないのに、短縮形になると「fridge」と「d」が入ります。これは、1920年代に普及した「Frigidaire(フリジデール)」というブランド名の響きに引きずられたという説や、英語の読み方のルール(dがないとフリジではなくフライジと読んでしまうため)によるものだと言われています。
また、イギリスでは「掃除機をかける」ことを「hoover」という動詞で表現することがあります。これは、初期の掃除機市場を独占していた「Hoover(フーバー)」社のブランド名が、そのまま動作を表す言葉として定着したものです。アメリカ英語の「vacuum」と同じ意味ですが、ブランド名が生活に溶け込んでいる典型的な例と言えるでしょう。
比較的新しい言葉としては、インターネットに接続された「smart appliances(スマート家電)」があります。かつては単なる道具(appliance)だったものが、AIや通信技術によって「賢い(smart)」存在へと進化したことを象徴しています。ちなみに、電子レンジ(microwave)がレーダーの研究中に、ポケットの中のチョコが溶けたことから発明されたというエピソードは、技術の転用が家庭の風景を変えた有名な歴史の一幕です。
文法的な注意点としては、「appliance」は数えられる名詞(可算名詞)であるため、複数の家電を指すときは「appliances」と複数形にします。一方、家財道具一式を指す「furniture(家具)」や「equipment(設備)」は数えられない名詞(不可算名詞)として扱われることが多いため、混同しないように注意が必要です。
このように、英語の「家電」にまつわる表現には、製品の見た目の歴史やブランドの普及、科学的な発見の裏話が凝縮されています。毎日使う身近な道具だからこそ、その名前の由来を知ることで、英語という言葉がより立体的に感じられるはずです。
