今や世界中で愛されている日本の「漫画」。英語でもそのまま「manga」で通じることが多いですが、実は「comic」との使い分けや、特有の表現、翻訳にまつわる面白い文化の違いが存在します。
英語で漫画を指す最も一般的な単語は「comic」です。新聞に載るような短い4コマ漫画などは「comic strip」、冊子形態のものは「comic book」と呼ばれます。また、より芸術性が高く、一冊で完結するような長編作品は「graphic novel(グラフィック・ノベル)」と呼び、一般的な子供向けコミックと区別されることもあります。
そんな中、日本の漫画は独自のジャンルとして確立されており、英語でも「manga」という単語が辞書に載るほどの市民権を得ています。面白いのは、アメリカなどの書店では、日本の漫画は「右から左へ読む」という独特のスタイルを維持するために、あえて「unflipped(反転させていない)」状態で出版されるのが主流だということです。かつては欧米の読者に合わせて左右反転させていましたが、現在は「オリジナルの構図こそが芸術」として、そのままの形で親しまれています。
漫画の表現に欠かせない「擬音(オノマトペ)」にも、英語ならではの工夫があります。日本語の「しーん」や「どんっ」といった表現は、英語では「sound effects(SFX)」と呼ばれます。翻訳版では「BOOM(ドカーン)」や「TAP(コツン)」と書き換えられますが、最近では日本語の文字をデザインの一部として残し、その横に小さく英語を添えるスタイルも増えています。日本の擬音がいかに繊細で、絵と一体化しているかが評価されている証拠ですね。
また、漫画や映画の文脈でよく使われる英語の表現に「comic relief(コミック・リリーフ)」があります。これは、シリアスな物語の中で、緊張を和らげるために登場する滑稽なキャラクターや場面のこと。日本語の「三枚目」に近いニュアンスですが、物語の構成を語る上で欠かせない重要な用語です。
文法的な特徴としては、「漫画を読む」と言う際、一冊の本として読むなら「read a comic」ですが、趣味として楽しんでいることを伝えるなら「I like reading manga」のように、不可算名詞(数えられない名詞)のようなニュアンスで集合的に表現されることも多いです。
このように、英語における「漫画」は、単なる娯楽の呼称を超えて、日本独自の文化を象徴する言葉として進化してきました。海外の友人と好きな作品について話す際、こうした背景を知っていると、より深い文化交流ができるかもしれません。
