英語で「情報」を意味する最も代表的な単語は「information」です。IT社会の現代において欠かせない言葉ですが、その文法的なルールや語源、そして類義語との使い分けに注目すると、英語特有の論理的な考え方が見えてきます。
まず、英語学習者が最も注意すべき点は、「information」が「数えられない名詞(不可算名詞)」であるという点です。日本語では「1つの情報」などと言いますが、英語で「an information」や「informations」と表現することはできません。どうしても数えたい場合は「a piece of information」という形をとります。これは、情報は水や空気のように、決まった形がなく境界線が曖昧な「概念」として捉えられているためです。
言葉のルーツを探ると、さらに興味深い意味が見えてきます。「information」の語源は、ラテン語の「informare」にあります。これは「in(中に)」と「formare(形作る)」が組み合わさったもので、もともとは「心の中に形を作る」あるいは「教え込む」という意味を持っていました。つまり、バラバラだった知識に形を与え、人の考えを形作るものこそが「情報」であるという哲学が込められています。
似た言葉に「data(データ)」がありますが、英語では明確に区別されます。「data」は加工される前の生の事実や数値そのものを指し、それらを整理・分析して人にとって意味のある形にしたものが「information」です。また、軍事やスパイ活動などで使われる機密性の高い情報は「intelligence」と呼ばれます。単なる知識を超えた、戦略的な価値を持つ情報という強いニュアンスが含まれます。
日常会話で使われるユニークな表現に「TMI」があります。これは「Too Much Information」の頭文字を取った略語で、「(聞きたくもない個人的な話や生々しい話について)情報が多すぎるよ」「その話、もうお腹いっぱいだ」といった場面で、冗談めかして使われます。情報が溢れる現代ならではのスラングと言えるでしょう。
また、少し変わった慣用句に「straight from the horse’s mouth」があります。「(情報が)馬の口から直接出た」=「確かな筋からの情報」という意味です。競馬の世界で、馬のコンディションを知るには予想屋に聞くよりも、馬自身の口(歯の状態など)を見るのが一番確実だったという歴史に由来しています。
このように、英語における「情報」は、単なるデータの集合体ではなく、受け取る側の知性を形作り、時には戦略的な武器にもなる深い存在です。文法的なルールから歴史的な比喩表現まで、その背景を知ることで、情報に対する向き合い方も少し変わってくるのではないでしょうか。
