英文の末尾で驚きや強調を表す「!」。日本語でも「びっくりマーク」として親しまれていますが、英語では「exclamation mark」あるいは「exclamation point」と呼びます。この記号の成り立ちや、英語圏ならではのユニークな呼び名、そして使い方のルールには意外な歴史が隠されています。
この記号の起源については諸説ありますが、有力な説の一つにラテン語の「io」という単語があります。これは喜びや驚きを表す間投詞で、かつて人々はこの2文字を縦に並べて書いていました。上の「i」が次第に点になり、下の「o」が塗りつぶされた点へと変化したことで、現在の「!」の形になったと言われています。
また、業界によって面白い別名が存在します。印刷やプログラミングの世界では、その形が棒を叩きつけたように見えることから「bang(バン)」と呼ばれることがあります。また、新聞業界などのジャーナリズムの世界では、読者の目を引く叫び声のような役割から「screamer(スクリーマー/叫ぶもの)」と呼ばれることも。たった一つの記号に、これほど激しい動詞が当てられているのは興味深いですね。
タイプライターの歴史を紐解くと、かつてはこの記号がいかに「特別なもの」だったかが分かります。驚くべきことに、1970年代頃までの多くのタイプライターには「!」専用のキーが存在しませんでした。当時の人々は、まずピリオド(.)を打ち、一文字戻って(バックスペース)、その上にアポストロフィ(’)を重ね打ちすることで、手作りでエクスクラメーションマークを再現していたのです。
現代の英語ライティングにおいては、使いすぎに注意が必要な記号でもあります。アメリカの小説家F・スコット・フィッツジェラルドは、「エクスクラメーションマークを使うのは、自分のジョークに自分で笑うようなものだ」という言葉を残しています。ビジネスメールなどのフォーマルな場では、一文に一つ、あるいは文章全体で控えめに使うのが知的なマナーとされており、多用しすぎると「子供っぽい」あるいは「興奮しすぎている」という印象を与えてしまうこともあります。
最近では、疑問符と感嘆符を組み合わせた「‽(インテロバング)」という記号も、驚き混じりの疑問を表現する際に稀に使われることがあります。
このように、何気なく使っている「!」には、ラテン語の喜びからタイプライター時代の苦労まで、長い道のりが刻まれています。メッセージの最後にこの記号を添えるとき、その一点が持つ「声の大きさ」を意識してみると、英語のニュアンスがより豊かに伝わるかもしれません。
