英語で「筋肉痛」を表現する際、直訳的な「muscle pain」よりも日常会話で圧倒的によく使われるのが「sore」という単語です。「I have muscle pain」と言うと少し医学的で深刻な響きになりますが、「I am sore(体が痛い)」と言えば、運動後の心地よい、あるいは辛いあの感覚が自然に伝わります。
日本語では、運動した翌日以降に遅れてやってくる痛みを「筋肉痛」と呼びますが、英語にもこれを指す専門的な用語があります。「DOMS(ドムス)」です。これは「Delayed Onset Muscle Soreness(遅発性筋肉痛)」の頭文字を取ったもので、トレーナーやフィットネス愛好家の間では世界共通の言葉として使われています。「遅れてやってくる」という現象自体がしっかりと名称化されているのが興味深いですね。
痛みの種類による使い分けも英語の特徴です。「sore」が炎症によるヒリヒリ・ズキズキした痛みを指すのに対し、デスクワークなどで肩や首が凝り固まった状態は「stiff」を使います。「stiff neck(寝違え、首の凝り)」や「stiff shoulders(肩凝り)」といった具合です。また、鈍く重い痛みが続く場合は「ache」が使われ、「body ache」と言えば風邪などで全身が痛む状態を指すことが多いです。
筋肉や運動にまつわる有名な慣用句に「No pain, no gain(痛みなくして得るものなし)」があります。これは筋トレの標語のようですが、実はその歴史は古く、17世紀の詩にも類似の表現が見られます。現代のようにフィットネスの文脈で定着したのは、1980年代に女優のジェーン・フォンダがエアロビクスのビデオで連呼し、世界的なブームを作ったことがきっかけだと言われています。
日常会話で使える少し大袈裟な表現として、「My legs are killing me」というフレーズもあります。「足が私を殺そうとしている=足が死ぬほど痛い」という意味で、長時間の立ち仕事や激しい運動の後に、ユーモアを交えて辛さを訴える際によく使われます。
文法的なポイントとしては、主語の使い方が挙げられます。「Muscle pain is…」と痛みを主語にするよりも、「I have sore muscles」や「My legs are sore」のように、自分や身体の一部を主語にするのが一般的です。これは、痛みが「自分の状態」として認識されていることを示しています。
このように、英語の「筋肉痛」に関する表現は、単なる痛みの描写だけでなく、トレーニング文化の歴史や、身体感覚をどう捉えるかという文化的な違いを映し出しています。ジムで汗を流した翌日、この「sore」な感覚を英語でどう表現するか考えてみるのも面白いかもしれません。
