私たちの日常生活に溢れているカタカナ言葉。しかし、その多くは英語圏では通じない「和製英語」です。英語では直訳的に「Japanese-made English」と説明するか、二つの言葉を混ぜ合わせた造語として「Japanglish(ジャパングリッシュ)」と表現されることがあります。これらは日本独自の進化を遂げた言葉であり、そのルーツを探ると意外な事実が見えてきます。
代表的な和製英語の一つが「コンセント」です。英語で「consent」と言うと「同意・承諾」を意味します。壁の電源は、アメリカ英語では「outlet」、イギリス英語では「socket」と呼ぶのが正解です。日本の「コンセント」は、明治時代に導入された「concentric plug(同心円状のプラグ)」という専門用語が省略されて一般化したと言われています。
日常会話でよく使う「テンションが高い」という表現も、英語圏では誤解を招きます。英語の「tension」は「緊張」や「精神的な負担」を意味するため、「High tension」と言うと「極度にピリピリしている・緊張状態にある」と捉えられてしまいます。気分が盛り上がっている状態を伝えるなら、「excited」や「hyped up」を使うのが自然です。
また、日本語と英語で意味がすり替わってしまった「空似言葉(false friends)」の代表格が「クレーム」です。日本語では「苦情」という意味で定着していますが、英語の「claim」は「(当然の権利として)主張する、要求する」という意味です。お店などに苦情を申し立てる場合は、「complaint」という単語を使わなければ意図が伝わりません。
大正時代に生まれた「サラリーマン」も、興味深い成り立ちをしています。「salary(給料)」と「man(人)」を掛け合わせた日本独自の造語であり、当時の新しい働き方を象徴する言葉でした。英語で会社員を表現する際は「office worker」や「company employee」とするのが一般的です。
文法的な特徴として、和製英語は単語を極端に省略する傾向があります。「パソコン(personal computer / laptop)」や「エアコン(air conditioner)」などがその典型です。また、「キーホルダー(正しくは keychain や key ring)」のように、名詞同士を独自の感覚で組み合わせてしまうのも特徴的です。
このように、和製英語は決して「間違った英語」というわけではなく、日本の文化や歴史に合わせて便利にカスタマイズされた「日本の言葉」です。英語圏では通じませんが、元の英単語との違いを比較することで、かえって正しい英語のニュアンスを深く学べる面白い教材にもなります。
