今回のフレーズは「Nature abhors a vacuum」です。
「Nature abhors a vacuum」は、直訳すると「自然は真空を嫌う」となりますが、実際には「自然界に空白は存在しない」「自然界は空白を埋める」「空白があると必ず何かで満たされる」などの意味になります。
このフレーズは、自然界や社会において、何もない状態や空白が存在すると、必ず何かがその空白を埋めることを表現しています。
例えば、リーダーが不在の場合に、「In any organization, nature abhors a vacuum. When the leader left, others quickly stepped in to fill the gap.(どんな組織でも、自然は真空を嫌う。リーダーが去ったとき、すぐに他の人かその穴を埋めた)」と言うことができます。
また、経済やビジネスの分野でも、需要が供給によって満たされる様子を説明することができます。「In the market, nature abhors a vacuum. If one company fails, another will quickly take its place.(市場では、自然は真空を嫌う。一社が倒産しても、すぐに別の会社その地位を占める)」という具合です。
「Nature abhors a vacuum」の由来は、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレス(Aristotle, 前384-前322)にまで遡ります。アリストテレスは、自然界では真空が存在しないと考え、常に何かがその空間を埋めると主張しました。つまり、何もない空間は不自然であり、自然は常にそれを埋めようとする、ということのようです。この考え方が、物理学や哲学の分野で広まり、現在ではさまざまな状況に適用されるようになりました。
元の表現はラテン語で「horror vacui(真空恐怖)」というものでした。16世紀にフランスの作家・医師であるフランソワ・ラブレー(François Rabelais, 1483-1553年)によって現在の形である「Natura abhorret vacuum」とラテン語で言い変えられました。
まとめると、「Nature abhors a vacuum」は、文字通り「自然は真空を嫌う」という意味ではなく、空白があると必ず何かで満たされることを指します。このフレーズを使うことで、何もない状態が長く続かないことを表現することができます。
この「Nature abhors a vacuum」を使って、空白や欠如がすぐに埋められる状況を説明する場面で活用してみてください。
実際の発音もチェックしてみてください
自然は真空を嫌う。
このシリーズでは、さまざまなことわざ・格言・慣用句・イディオムなどを紹介して解説しています。