日本語の「空気を読む」は、言葉にされていない雰囲気や意図を感じ取って行動することを指します。英語にはまったく同じ言葉はありませんが、近い意味の表現はいくつかあります。
まずよく使われるのが「read the room」です。直訳すると「部屋を読む」ですが、意味はまさに「場の雰囲気を察する」。たとえば、みんなが真剣に話しているときに冗談を言ってしまった人に対して「You should read the room.(空気を読んだほうがいいよ)」と言うことができます。現代英語ではとてもよく使われる表現です。
もう少し丁寧に言いたい場合は、「be sensitive to the atmosphere(雰囲気に敏感である)」や「understand the mood of the situation(その場の空気を理解する)」などもあります。ただし、これらはやや説明的で、日常会話では「read the room」のほうが自然です。
似たような表現に「pick up on the vibe(雰囲気を感じ取る)」という言い方もあります。「vibe」は「vibration(振動)」の略から来ていて、「いい雰囲気」「嫌な感じ」といった感覚的なものを表します。たとえば「He didn’t pick up on the vibe(彼は空気を読めなかった)」と言えば、感情の流れをつかめなかったという意味になります。
つまり、「空気を読む」という文化的に繊細な感覚も、英語では「read the room」や「pick up on the vibe」といった形でちゃんと表現できます。英語圏でも、人間関係のなかで「空気を読む力」はやはり大切にされています。言葉が違っても、人の気持ちを察する心は世界共通なんです。
