英語で「中学校」を表現する際、多くの人が最初に思い浮かべるのは「junior high school」や「middle school」でしょう。しかし、これらの言葉の使い分けや、英語圏の学校制度を覗いてみると、単なる名称以上の文化的な違いが見えてきます。
アメリカで最も一般的なのは「middle school」という呼称です。これは通常、小学5・6年生から中学2年生(11歳〜14歳頃)が通う学校を指します。一方、「junior high school」は、高校(high school)への準備段階というニュアンスが強く、中学1年生から3年生(12歳〜15歳頃)を対象とする傾向があります。かつては「junior high」が主流でしたが、思春期の成長に合わせた教育を重視する観点から、現在のアメリカでは「middle school」と呼ぶ自治体が増えています。
イギリスに目を向けると、事情はさらに異なります。イギリスの義務教育では、日本の中学校にあたる時期は「secondary school」の一部として扱われます。11歳で小学校を卒業すると、そのまま16歳または18歳まで同じ学校に通うのが一般的です。そのため、日本のような「3年制の中学校」という独立した区分自体が珍しく、イギリス英語で「middle school」と言うと、一部の地域に残る「9歳から13歳が通う学校」という非常に限定的な意味になります。
学校生活にまつわる表現にも、英語圏ならではの特徴があります。日本では中学1年生を「中1」と呼びますが、アメリカでは学年を小学校からの通し番号で呼ぶため、中学1年生は「6th grader」や「7th grader」となります。また、中学や高校の1年生を指す「freshman」という言葉もありますが、これは主に4年制の高校(9年生〜12年生)の1年目を指すことが多く、日本の中3がアメリカでは「freshman」にあたるという逆転現象が起こることもあります。
また、中学時代を象徴する言葉に「awkward phase」という表現があります。これは「(成長過程での)不器用で格好のつかない時期」という意味です。子供でも大人でもない、心身ともに急激に変化する中学生特有の多感な時期を、英語圏の人々は親しみと少しの苦笑いを込めてこう表現します。
文法的な注意点として、特定の学校名を挙げるのではなく「中学校に通っている」と言いたい場合は、冠詞をつけずに「in middle school」や「at junior high」と表現するのが一般的です。これは、学校を建物としてではなく、教育を受ける「場所や機能」として捉えているためです。
このように、英語における「中学」の呼び方は、その国の教育制度や子供たちの成長をどう捉えるかという視点と深く結びついています。単なる単語の暗記ではなく、その背景にある「学年の数え方」や「文化的なイメージ」を知ることで、海外のドラマやニュースの理解がより深まるはずです。
