英語の文章で頻繁に見かける記号「:(コロン)」。日本語の読点(、)や句点(。)とは異なる役割を持ち、英文を論理的に構成する上で欠かせない存在です。この小さな記号の背景には、語源や意外な同形異義語の歴史が隠されています。
まず、記号としての「colon」の主な役割は「説明」や「例示」です。前の文を受けて「つまり次のようなことです」と補足する際に使われます。よく似た記号に「;(セミコロン)」がありますが、こちらは独立した2つの文を緩やかにつなぐ役割を持ちます。コロンが「前方の情報を指し示す矢印」のような役割なのに対し、セミコロンは「弱い句点」のような役割という違いがあります。
この言葉の語源を辿ると、古代ギリシャ語で「手足」や「一節」を意味する「kōlon」に突き当たります。もともとは文章全体の構成要素である「節」そのものを指していましたが、次第にその節を区切るための記号の名前へと変化していきました。
興味深いことに、英語で「colon」という単語は、解剖学における「大腸(結腸)」を指す言葉でもあります。全く別物のように思えますが、実は語源は同じです。大腸もまた、体の中でいくつかの「節」や「区切り」に分かれている器官であることから、同じ「区切り」を意味する言葉が当てられたと言われています。
また、日本人が「コロン」と聞いて思い浮かべるものの一つに香水の「オーデコロン」がありますが、こちらの綴りは「cologne」であり、記号のコロンとは全くの別物です。これはドイツの都市「ケルン(Köln)」のフランス語読みに由来しており、「ケルンの水」という意味を持っています。カタカナでは同じ「コロン」ですが、英語では発音も綴りも明確に区別されています。
文法的な雑学としては、コロンの後の書き出しに関するルールがあります。アメリカ英語では、コロンの後に続く内容が完全な文章(主語と動詞がある文)である場合、最初の文字を大文字で書き始めるのが一般的です。一方、イギリス英語では小文字のままにすることが多く、同じ英語圏でもスタイルの違いが見られる興味深いポイントです。
デジタル時代の現代では、顔文字(emoticon)の「目」としても活用されているコロン。単なる句読点の枠を超え、私たちのコミュニケーションを支える多機能な記号として進化を続けていますね。
