感情にはどのような分類があるのか

colorful

以前「感情を表す英単語」を紹介しましたが、感情の種類や分類方法はさまざまです。そこで今回は「感情にはどのような分類があるのか」についてまとめました。感情を分類することで、自分や相手の気持ちをより明確に理解することができるため、感情を適切にコントロールすることや、人間関係の改善につながるかもしれません。

スポンサーリンク

感情は「基本」と「応用」に分類できる

感情には色々な分類方法がありますが、多くの研究では、基本感情高次感情に分類されています。

  • 基本感情(basic emotions)
    1次感情(primary emotions)
    ⇨ 喜びや悲しみなど基本的な感情のこと
  • 高次感情(complex emotions)
    2次感情(secondary emotions)
    ⇨ 嫉妬や愛情など複雑な感情のこと

基本感情は、1次感情(primary emotions)とも呼ばれ、根本的な感情から構成されています。例えば、喜び悲しみ怒り驚き恐怖などがあげられます。

高次感情は、2次感情(secondary emotions)とも呼ばれ、基本感情が組み合わさることで生まれます。代表的な高次感情には、嫉妬愛情軽蔑罪悪感などがあります。

参考:髙木幸子(他) 高次感情の概念と表出および知覚の関連性の検討 (PDF)

基本感情の分類もさまざま

基本感情の分類方法もさまざまで、研究者によって見解が異なっています。

  • ポール・エクマン
    幸福 悲しみ 怒り 恐怖 驚き 嫌悪
  • ロバート・プルチック
    喜び  愛  悲しみ 怒り 恐怖 驚き 嫌悪 欲望 信頼 予期

最も有名な分類モデルの1つは、アメリカの心理学者であるポール・エクマン(Paul Ekman)の6つの基本感情です。

エクマンは基本感情を、幸福 (happiness)、悲しみ (sadness)、嫌悪 (disgust)、怒り (anger)、恐怖 (fear)、驚き (surprise) の6つに分類しました。一般的にも分かりやすいモデルですね。ただ、彼はのちに、恥 (shame) や興奮 (excitement) など、10個近くの感情を新たに追加しています。感情を言語化して分類するのは、研究者でも一筋縄ではいかないようです。

もう1つの有名な分類モデルには、同じくアメリカの心理学者のロバート・プルチック(Robert Plutchik)の「感情の輪(wheel of emotions)」があります。プルチックは基本感情を、喜び (joy)、信頼 (trust)、恐怖 (fear)、驚き (surprise)、悲しみ (sadness)、嫌悪 (disgust)、怒り (anger)、予期 (anticipation) の8つに分類しました。以下が分類した図です。

感情Robert Plutchik’s Wheel of Emotions

画像をクリックすると少し拡大します。

花のように綺麗で分かりやすい図ですね。どのように感情が派生していくのか、どのような感情が相反しているのかが、視覚的かつ体系的にまとまっています。また、プルチックは1次感情と2次感情だけでなく、3次感情(tertiary emotions)まで理論化し、感情の強弱まで分類しています。例えば、赤色の怒り (anger) について見てみると、色が濃い激怒 (rage) と、色が薄い苛立ち (annoyance) の3つに分けられています。

有名な哲学者も感情を分類してきた

感情の分類は、著名な哲学者も試みてきました。

例えば、フランスの哲学者のデカルトは、『情念論』で、驚き (wonder)、 (love)、憎しみ (hate)、欲望 (desire)、喜び (joy)、悲しみ (sadness) の6つの基本感情に分類しています。

また、オランダの哲学者のスピノザは、『エチカ』で、欲望 (desire)、喜び (joy)、悲しみ (sadness) の3つに分類しました。

  • デカルト
    喜び  愛  悲しみ 驚き 憎悪 欲望
  • スピノザ
    喜び 悲しみ 欲望

この時代は「欲」が感情の1つに分類されているのが特徴的ですね。色々な分類方法がありますが、どの時代でも、喜びと悲しみが基本感情になっているのは共通しているようです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

「嫉妬」は「怒り」と「悲しみ」から生まれる

sad

このような基本感情が組み合わせることで生まれるのが、高次感情二次感情のような複雑な感情(complex emotions)です。

例えば、「喜び」と「驚き」で「歓喜」が、「怒り」と「悲しみ」で「嫉妬」が生まれると考えられています。

高次感情の例には、以下のようなものがあります。

  • 喜び + 驚き = 歓喜
    joy + surprise = delight
  • 喜び + 信頼 = 愛
    joy + trust = love
  • 悲しみ + 恐怖 = 絶望
    sadness + fear = despair
  • 悲しみ + 驚き = 失望
    sadness + surprise = disappointment
  • 悲しみ + 怒り = 嫉妬
    sadness + anger = envy
  • 恐怖 + 嫌悪 = 恥
    fear + disgust = shame
  • 恐怖 + 驚き = 畏敬
    fear + surprise = awe

パズルみたいで面白いですね。これらは1つの例に過ぎませんが、組み合わせて作られる高次感情の数は、50とも、100以上ともいわれています。これからさらに研究が進めば、人間の感情はより詳細に分析され、複雑化もしくは単純化されるのかは分かりませんが、また違った分類法が考案されるかもしれません。

感情に関する単語を学ぶメリットには、自分の感情をよりコントロールしやすくなることや、相手の気持ちを理解しやすくなること、コミュニケーションがスムーズになること、など多々あります。ポジティブでもネイティブでも、色々な感情表現を学んで、語彙も生活も豊かにしていきたいですね。

参照 感情に関する言葉を学ぶメリット

タイトルとURLをコピーしました