英語で「苗字」を表現する際、一般的には「last name」や「surname」、「family name」が使われます。日本の苗字は地名や地形に由来するものが多いですが、英語圏の苗字のルーツを紐解くと、中世の人々の生活や職業、家族の繋がりが鮮明に浮かび上がってきます。
英語圏で最も数が多い苗字の代表格が「職業」に由来するものです。アメリカやイギリスで最も多い苗字である「Smith(スミス)」は、金属を打つ「鍛冶屋(blacksmith)」に由来します。中世ヨーロッパにおいて、農具や武器を作る鍛冶屋はどの村にも欠かせない重要で人数の多い職業だったため、この苗字が爆発的に増えました。他にも、「Taylor(仕立て屋)」や「Baker(パン屋)」、「Carpenter(大工)」など、当時の社会を支えた職業がそのまま苗字として現代に受け継がれています。
次にユニークなのが、「父親の名前」から作られた苗字です。「Johnson(ジョンソン)」は文字通り「Johnの息子(son)」という意味を持ちます。また、ケルト文化圏(スコットランドやアイルランド系)の苗字によく見られる「Mac」や「Mc」も「~の息子」を意味する言葉です。世界的なファストフードチェーンの「McDonald’s(マクドナルド)」は、もともと「ドナルドさんの息子」というルーツを持つ名前です。同様に、アイルランド系の「O’(オ)」は「~の子孫」を意味し、「O’Brien(オブライエン)」などのように使われます。
さらに、住んでいる場所の目印に由来する「Wood(森)」や「Hill(丘)」、身体的特徴に由来する「Brown(茶色の髪)」や「Strong(力持ち)」といった直感的な苗字も多数存在します。
文法的な使い方として、特定の家族全体(~家の人々)を指す場合には、苗字に複数形の「s」を付け、定冠詞の「the」を伴うルールがあります。例えば「The Smiths(スミス一家)」や「The Johnsons(ジョンソン家)」といった具合です。
このように、英語における「苗字」は単なる名前の一部ではなく、先祖がどのような仕事をし、誰の子供として生まれ、どんな特徴を持っていたのかを今に伝える「歴史のタイムカプセル」のような存在です。海外の映画やニュースで名前を耳にした際、その背後にあるルーツを想像してみると、英語への興味がさらに深まるのではないでしょうか。
