英語学習の初期で習う「take」ですが、あまりに多くの意味や熟語があるため、辞書を見て丸暗記しようとして挫折した経験がある人も多いのではないでしょうか。実は「take」の根底には共通する一つの「コアイメージ」があり、それを知ることで一気に使いこなしやすくなります。
「take」の基本的なイメージは、「(自らの意志で)手を伸ばしてサッと取る、自分のものにする」という能動的なアクションです。単にそこにあるものを得る「get」とは異なり、明確な選択や行動が伴います。
日本語の感覚とズレやすい代表例が「薬を飲む」という表現です。水などを飲む際は「drink」ですが、薬の場合は「take medicine」と言います。これは、薬の成分を「自分の体内に取り込む」という能動的なニュアンスがあるためです。同様に、バスや電車などの交通機関を利用する際も「take a bus」と言います。数ある移動手段の中から、自らの意志でバスを「選び取る」という感覚が表れています。
また、「時間」や「労力」を表現する際にも「take」は大活躍します。「It takes an hour.(1時間かかります)」というお馴染みのフレーズは、ある物事があなたの時間を「奪い取る」という視点から生まれています。これに関連した面白い慣用句に「It takes two to tango.」があります。直訳は「タンゴを踊るには2人の人が必要だ」ですが、転じて「争い事は両成敗」「どっちもどっちだ」という意味で使われる非常にユニークな表現です。
「方向性」の視点も重要です。似た意味の「bring(持ってくる)」が話し手や聞き手のいる場所へ近づく動きを表すのに対し、「take」は「今いる場所から別の場所へ持っていく」という遠ざかる動きを表します。そのため、家を出る時に「傘を持っていく」と言う場合は「take an umbrella」となります。
さらに、前置詞と組み合わせた句動詞(フレーザルバーブ)も豊富です。「take off」は、地面から「離れて(off)」「飛び立つ(take)」ことから飛行機の「離陸」や、身につけているものを体から「離して取る」ことから「服を脱ぐ」という意味になります。
このように、「take」は単なる「取る」という翻訳を超え、英語話者の能動的な世界観を色濃く反映した言葉です。コアイメージである「自ら手を伸ばして選び取る」という感覚を意識するだけで、数多くの熟語や表現がスッと腑に落ちるのではないでしょうか。
