ビジネスや文章作成の基本として日本でもすっかり定着している「5W1H」。Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)の頭文字をとったものですが、英語圏ではどのような位置づけなのでしょうか?
実は英語圏において、この情報の基本要素は一般的に「The Five Ws(5つのW)」と呼ばれます。「How」が仲間外れにされているわけではなく、Wから始まる5つの疑問詞に付随する「名誉メンバー」としてセットで扱われているのです。ジャーナリズムの世界などでは「Five Ws and one H」と正確に表現されることもありますが、日常会話ではシンプルに「Five Ws」と言うのが主流です。
文法的な観点から見ると、これらの言葉で始まる疑問文は「Wh-questions(Wh疑問文)」と呼ばれます。このWh疑問文には、英会話における重要な発音のルールがあります。それは「文末のイントネーションを下げる」ということです。「Are you ready?(⤴)」のようなYes/Noで答える疑問文は語尾が上がりますが、「Where are you going?(⤵)」のように具体的な情報を求める5W1Hの疑問文は、語尾を下げるのが自然な英語のリズムになります。
この「5W1H」にまつわる面白い雑学として、そのルーツの一つとされるイギリスの作家、ラドヤード・キップリングの詩があります。『ジャングル・ブック』の著者として知られる彼は、童話の中で「私には6人の誠実な使用人がいる。(中略)彼らの名前は、What、Why、When、How、Where、そして Who だ」と書いています。この詩(通称:Kipling method)が、情報を整理するフレームワークとして広まったキッカケの一つと言われています。
また、現代のビジネスの現場ではこれをさらに拡張した表現もよく使われます。例えば、費用や数量の概念を追加した「5W2H(+How much / How many)」です。企画書や報告書で具体的な数字や予算を交える際、この「2つ目のH」が非常に重要な役割を果たします。
日本でもおなじみの「5W1H」ですが、英語圏での呼ばれ方やルーツを知ると、また違った面白さが見えてきます。次に英語で質問をする際は、キップリングの「6人の使用人」を思い浮かべながら、文末のイントネーションをスッと下げて発音してみてください。それだけで、ぐっとネイティブらしい自然な会話になるはずです。
