「but」と聞けば、誰もが「しかし」「でも」という逆接の接続詞を思い浮かべるでしょう。しかし、この短い単語が持つ役割はそれだけではありません。実は「but」には、日常会話や文学表現で頻繁に使われる、意外な意味やユニークな慣用句がたくさん隠されています。
まず注目したいのは、「〜を除いて(except)」という意味で使われる前置詞としての「but」です。例えば、「All but one(1人を除いて全員)」や「Nobody but you(あなた以外の誰も〜ない)」といった表現です。有名なラブソングなどで「I love nobody but you(あなた以外誰も愛さない)」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
これを応用した重要な表現に、「anything but」と「nothing but」があります。「He is anything but a liar.」と言えば、「彼は嘘つき以外の何でもあり得る」、転じて「彼は『決して』嘘つきではない」という強い否定を表します。逆に「He is nothing but a liar.」となると、「彼は嘘つき以外の何者でもない(ただの嘘つきだ)」となります。単語の組み合わせで意味が正反対になる、非常に面白くも間違えやすい表現です。
また、言い訳を封じるユニークな慣用句に「No ifs, ands, or buts.」というフレーズがあります。直訳すると「『もし』も『そして』も『でも』も無しだ」となり、「つべこべ言わずにやりなさい」「一切の言い訳や条件は認めない」という強い決意や命令を表します。親が子供をたしなめる時や、ビジネスで断固たる態度を示す時に使われるリズミカルな表現です。
文法的な雑学としては、「文章をButから始めてはいけない」という古い迷信があります。かつての学校教育では厳しく指導されることもありましたが、現代の英語では、文頭の「But」は文章に劇的な効果を持たせたり、会話の自然なテンポを生み出したりするために、プロの作家やジャーナリストも日常的に使用しています。
このように、「but」は単なる文と文を繋ぐ接着剤ではなく、ある時は特定の人を特別扱いし、ある時は言い訳を切り捨てる、非常にパワフルで多面的な単語です。「しかし」という基本の枠を少しはみ出してみるだけで、英語の表現力はぐっと豊かになるはずです。
